エンタメなしでは生きてけない!!

これは面白い!!これは人にすすめたい!!そんなエンタメ作品の紹介をしていきます!

『ショーシャンクの空に』を観て出所者の社会復帰に必要なことを考えてみた

※このブログはアフィリエイト広告を利用しています。記事中のリンクから商品を購入すると、売上の一部が管理人の収益となります。

映画『ショーシャンクの空に』は不自由な刑務所の中で、希望を持ち自由を諦めなかった男が脱獄するまでの話が描かれています。非常に前向きになれるのでおススメです。

 

ただ、前向きな話ばかりというわけではなくて、本作では受刑者たちがぶつかる厳しい現実を描いていたりします。その一つが「長期刑を受けた元受刑者が刑務所から出た後どのように生きていくのか?」という問題です。今回はこの問題からアレコレ考えてみました。

受刑者ブルックスが感じた恐怖

この物語の中にブルックスという老人が出てきます。彼は刑務所の図書係を担当。1905年からなんと50年もの長い年月を刑務所で過ごしています。

 

そんなブルックスについに仮釈放のしらせが。普通ならここは喜ぶところじゃないですか。なんせ、不自由だらけの刑務所から何の縛りもない外の世界に出られるわけですから。ところが、ブルックスは仮釈放になりたくないというんです。それはなぜかというと、「塀の外でやっていけないんじゃないか」という恐怖があるからです。

 

これはどういうことなのか。簡単に言えば「社会の変化についていけるのか」「外の世界に自分の居場所はあるのか?」といった不安が恐ろしさに繋がっているのだと思います。ブルックスが刑務所に入ったのは1905年で、刑務所を出るのが1954年です。1905年っていうと日本とロシアが日露戦争をやってた時ですよ。そこから、50年というと第一次世界大戦や第二次世界大戦を経て、世界の構造から街並みも何もかもがガラッと変わる。50年というのはそれぐらい長い年月なわけです。

 

実際に刑務所を出たブルックスは戸惑います。外の世界は彼が刑務所に入る前とはとは何もかも変わってしまっていました。まず彼が驚いたのが自動車の数です。「自動車は子供の頃一度見た」という言葉からもわかるように、50年前は車なんて物珍しいものだったんですね。でも、それが今や当たり前のように道路を走り回っています。ブルックスはまるで浦島太郎のような気分だったのかもしれません。

 

しかも、刑務所の外に出ると一気に人間関係が失われます。おそらく50年の間に家族や知人もほとんどいなくなってしまったことでしょう。いたとしてもおそらく彼らのもとには戻れませんよね。一方、刑務所内には彼のことを知る囚人たちが大勢いて、ご飯を食べたり自由時間に話をしたり、図書係を通じてコミュニケーションを取れたりもしたわけです。でも、塀の外に出てしまうと彼を知る人は誰もいない。きっと孤独を突きつけられる日々だったのではないかと思います。

 

幸いなことに住む場所と仕事はあてがわれてはいるんですけどね。ただ、その仕事にしたってスーパーのレジの補助係であって、かつて刑務所内でやっていた図書係のような役割を実感できる仕事でもないわけです。

 

そのうち彼は精神的に不安定になり「強盗でもやって刑務所に戻りたい」とすら思うようになってしまいます。このあたりは社会に居場所のない元受刑者の心情をよく描いている場面です。

 

ブルックスはその後どうなったのか。結局自室で首をつって死んでしまいました。壁に「ブルックスここにありき」という言葉を残して。それはおそらく自分の存在をめいいっぱい示そうとする彼の心の叫びだったのでしょう。僕は思わず泣いてしまいました。

 

人は居場所が必要なのかもしれない

実は、『ショーシャンクの空に』ではもう1人、ブルックスと同じ運命をたどりそうになったレッドという人がいます。彼も仮釈放後、なかなか外の世界になじめず精神的に不安定になってしまいました。このままだと自分もブルックスと同じ道をたどりかねない。その時に、彼が思いだしたのが先に出所(脱獄)したアンディの言葉でした。アンディはレッドが出所したら、メキシコのジワタネホというところに来るよう伝えていたんです。そこで一緒に仕事をしようと。一時は生きる希望を失いかけていたレッドでしたが、その言葉を信じメキシコへと向かいアンディとの再会を果たすのです。彼はブルックスと同じ運命をたどらずにすんだんですね。

 

この二人の出所者のエピソードから思ったことは、「人は居場所が必要なのかもしれないということです。ブルックスとレッドの境遇に大きな差はありません。どちらも長い間刑務所に入っていて、出所したときは老人と言っていい年齢になっていました。刑務所内では仕事もあり頼りにされてもいました。ただ、二人の違いは刑務所の外に自分の居場所があったかどうかだと思うんですよね。それが二人の運命を分けたといってもいいのではないでしょうか。

 

ちなみに日本の話になりますが、刑務所から出所した人のその後を追った『ルポ 出所者の現実』という本があります。

 

タイトルからもわかるように、この本では多くの出所者たちを取材しているのですが、出所してある程度やっていけている人たちに共通しているのは、仕事なり家庭なりどこかで自分の居場所を確保できている人たちなのではないかと思いました。

 

『ショーシャンクの空に』のブルックスやレッドは仕事や住居も与えられ恵まれていたと言えばそうなのかもしれない。でも、彼らは精神的に追い詰められていきました。おそらく、仕事があるだけでも家があるだけでも足りない。「自分はここにいていいんだ」「自分にはこういう役割があるんだ」と実感できるような居場所があること。それが出所者の社会復帰に必要なことなのではないでしょうか。

 

まとめ

今回は『ショーシャンクの空に』を観て出所者の社会復帰に必要なことを考えてみました。居場所の確保が必要だと述べましたが、なかなか自分に合った居場所を探すのは難しいかもしれません。ただ、最近では居場所づくりの重要性が認識され始め、居場所を提供する団体があったり、あるいは生きづらさを抱える当人同士の自助会のようなものもあります。そこにはもしかしたら自分と同じような悩みを抱えた人もいるかもしれませんので、居場所がない人はまずそういったところに足を運んでみるといいのではないでしょうか。

 

あと、『ショーシャンクの空に』はメチャメチャいい映画なので、まだ観てない人はおススメなのでぜひご覧になってみてください!!

 

『ショーシャンクの空に』自由という普遍的なものの価値を改めて教えてくれた作品! - エンタメなしでは生きてけない!!