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『ゲット・アウト』社会批判とスリラーとコメディが見事に融合した作品!!

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黒人に対する差別をテーマにした『ゲット・アウト』。2017年にアメリカで公開された作品で監督はこれが映画初監督のジョーダン・ピール。脚本も彼が担当しています。本作は従来の「白人に虐げられる黒人」というわかりやすい構図とは一線を画すスリラーです。

 

本作は第90回のアカデミー賞で4部門にノミネートし、脚本賞を受賞するという快挙をなしとげました。 

 

差別をテーマにしながらも監督のジョーダン・ピールがコメディアン出身ということもあり、決して重たいだけの内容ではありません。笑えるけどゾッとするそんな作品に仕上がっていると思います。

 

※ネタバレありなのでよろしくお願いします。

あらすじ

ここからはあらすじについて書いていきます。

 

黒人の写真家クリス・ワシントンは恋人のローズ・アーミテージの実家を訪れることになっていました。しかし、ローズは彼が黒人であることを家族に告げていなかったんですね。そのこともあってクリスは彼女の実家を訪れることに不安を覚えます。 しかしローズの家に着くとクリスは家族から歓迎を受け、懸念は思い過ごしであったことで安心するのでした。

 

その夜、クリスがタバコを吸うため庭に行くと、庭の管理をしているウォルターがなぜか全力疾走しているのを目にしたり、使用人のジョージナが窓に映る自分の姿を見つめている姿を目撃します。(どちらも黒人)

 

翌日、アーミテージ家ではすでに亡くなっているローズのおじいさんをたたえるパーティーが開催されます。招待客は白人ばかりでクリスは居心地の悪さを感じます。しかし、彼らはむしろ黒人であるクリスのことを褒めたたえ、ある者はゴルフのスウィングを見せてくれと言ったり、クリスの身体を触ってきたりと何か違和感を感じる接し方をしてくるのでした。

 

そんな中、クリスはパーティーで黒人の青年ローガンを見つけます。ローガンは自分より数十歳は年上であろう白人女性とパートナーになっています。クリスがそんな彼の姿をスマホのカメラで撮影しようとするのですが、フラッシュをオフにするのを忘れていたのです。するとフラッシュを浴びたとたんにローガンは鼻血を垂らしながらクリスに向かって「ゲット・アウト!ゲット・アウト!」と言いながら襲い掛かるってくるのでした。

 

アーミテージ家と知人たちの異様な雰囲気に、恐ろしさを感じたクリスは家を離れることを決意。ローズもその意見に賛同します。しかしこの後、恐ろしい出来事がクリスの身に襲いかかるのでした。

 

感想 

黒人に対する差別は終わってないことを突きつけられる

ネタバレありなので言っちゃいますと、アーミテージ家にクリスが呼ばれた理由は、「優秀な黒人であるクリスの肉体を手に入れるため」ってことだったんです。アーミテージ家の人たちっていうのは父親が脳神経外科医で、母親が精神科医、息子が医学生という医者の家系なんですね。で、とある特殊な方法によって白人と黒人の脳を入れ替えて黒人の肉体を手に入れるというのをローズの祖父の代から行っているわけです。ちなみに、クリスの恋人ローズは黒人を家に連れてくるための役割を果たしています。

 

今回行われたパーティーももちろんタダのパーティーじゃありません。その目的はクリスの品定めと、彼の肉体を手に入れる人を決めるためのいわばオークションのようなものでした。だから、パーティーの時にある男性はクリスのゴルフスウィングを確認したし、とある女性は彼の肉体を触り「強いの?」(セックスが)と聞いたりするわけですね。女性の場合、年老いた夫の脳をクリスに移植することを前提にして話をしてます。そう考えると、他の白人たちがやけに彼に親切だったのも合点がいきますよね。みな、差別をしない人格者だからというわけではなく、はじめから黒人であるクリスの肉体のみが目当てだったわけですから・・・。

 

で、恐ろしいのは本作に登場する白人たちが「黒人は優秀である」と表向きには自分たちは差別なんかしていないのだとしていながらも、その優秀さを手に入れるために黒人たちを犠牲にすることを何とも思ってないというところにあります。結局のところ、「黒人の人生なんか知ったこっちゃない。お前らの優秀さは白人様のためにあるんだ」とでも言わんばかり。これはかつて南部で黒人が奴隷として扱われていた時の、「黒人の人生は白人を豊かにするためにあるもの」という昔からの差別意識が別のかたちで表しているのかなと思います。

 

アメリカでは黒人初のオバマ大統領が出てきたりと、かつてに比べれば黒人に対する差別意識は少なくなってきてはいるのでしょう。だけど、まだ黒人だからという理由で不当な扱いを受ける例があることも耳にします。まだまだ黒人に対する差別は終わってない。本作を通じて、改めてそのことを突きつけられたような気がします。

 

観る者の心の奥底にある差別意識に気づかされる

本作では黒人に対する分かりやすい差別というのは出てきません。僕らがイメージする分かりやすい差別というのは、例えば野蛮であるとか、頭が悪いとか、かつての奴隷制度のように白人は黒人のための労働力として扱うといったことですよね。白人は黒人よりも上であるという構図が目に見えるわけです。一方、本作では逆に「黒人だからこそ優秀である」という逆の意味での差別が描かれています。それは肉体的に強いに違いないとか、セックスが強いに違いないといったこともそうですし、あるいはもっと身近な例でいえば歌が上手いとか、リズム感があるとかね。

 

この「黒人だから優秀に違いない」という描かれ方を観ていて、僕はハッとしてしまいました。おそらく僕や他の人の意識の中にも「黒人だから身体能力が高い」とか「足が速い」みたいなレッテルというか、人種によって決めつけてしまっている部分がないとは言い切れなかったからです。決して悪気があるものではないのかもしれないけど、それって偏見であり差別ですよね。だって、当然のことながら黒人だって足が遅い人もいるし、歌が下手でダンスも踊れない人もいる、身体能力が低い人もいるわけですから。多分そういう気づきにくい差別って世の中にはたくさんあるんだろうと思います。

 

自分は差別をしてないという人こそぜひ本作を見てほしい。果たして本当に自分は差別をしてないのか?そのことを改めて考えさせられるきっかけになる作品なのではと思います。

 

まとめ

今回は『ゲット・アウト』という作品を紹介してみました。他にも本作には様々な伏線が張り巡らされていたり、ギャグもあったりと、色々な角度から楽しめる作品だと思います。個人的に観ておいて損はない作品だと思うので、ぜひご覧になって観てください!