ホラー映画の幽霊やモンスター対決しがち・・・。ということで、最近『リング』だったり、『呪怨』シリーズを見まくってまして、その流れで両作品に登場するJホラーが誇る二大幽霊である貞子と伽椰子が対決する『貞子VS伽椰子』という映画を観たので、今回はこの作品について紹介したいと思います。
映画が公開されたのが2016年。監督は『ノロイ』や『オカルト』など数々のホラー映画を撮ってきた白石晃士監督。見ると2日後に死ぬという呪いのビデオを見てしまう女子大生の倉橋有里を山本美月。入ると必ず死んでしまう呪いの家に足を踏み入れてしまう女子高生の高木鈴花を玉城ティナ。二人の呪いを解こうとする霊能者の常盤経蔵を安藤政信が演じています。
※ここからはネタバレありです。
感想
楽しいか楽しくないかで言ったら楽しくなかった
違う作品の幽霊なりモンスターが対決する作品はいくつかあります。有名どころだと『エイリアンVSプレデター』や『フレディVSジェイソン』が挙げられますね。僕は前者に関しては観ていないので何とも言えませんが、後者は観たことがあります。こういう対決ものっていうのはそもそもの世界観が違うことが多いため、どうしても矛盾が目立ってしまうものです。違う世界の話を無理やり結びつけようとするのでそこはしょうがないですよね。おそらく、そこをイチイチ気にしていたらこういう作品は楽しめないかと。
じゃあ、どの部分で楽しめばいいのか?これは僕なりの考えですが、こういう対決ものは「違う世界のキャラクター同士をどうやって対決させるのか?」という部分と、実際に「そのキャラクターたちが各々の特異な力をフルに発揮して激しい戦いを繰り広げる」というところに注目するといいのではないでしょうか。
『フレディVSジェイソン』の場合、存在を忘れられると力を発揮できないフレディが、エルム街にジェイソンをけしかけ人々を襲わせることで、住人達に自分のことを思い出させて力を取り戻そうと画策するところからスタートします。まぁ、これ自体ちょっと無理があるっちゃあるのですが、(力がないはずなのに、なぜジェイソンの夢には現れられるのか?)そこはもう違う世界のキャラたちを無理やりつなげるためにしかたがないと目をつぶるしかありません。
では、もう一つの「激しい戦いを繰り広げる」の部分が個人的には結構好きだったんです。(これ以上話すと『フレディVSジェイソン』の話になっちゃうので興味がある人は実際に観てみて)
翻って今回の『貞子VS伽椰子』を振り返ってみましょう。まず、二人がどのようにして出会うのか?これは個人的にちょっとおもしろいなと思いました。かなりざっくりいうと、安藤政信が演じる常盤という霊能者が「バケモンにはバケモンをぶつければいい」という超シンプルかつわかりやすい方法で、貞子の呪いと伽椰子の呪いを解こうとするんですね。そのために呪いのビデオによって貞子に呪われた有里を呪いの家に入れ、すでに呪いの家に入って伽椰子に呪われた鈴花に呪いのビデオを見せることで、二人に貞子と伽椰子どちらの呪いも降りかかるようにしたわけです。
じゃあ何でそんなことをするのか?本作の設定では貞子も伽椰子も自分の呪いにかかった人間は必ず自分の手で殺すという特性を持っているからです。つまり、貞子も伽椰子も相手に自分の獲物を殺されるわけにはいかないんですね。となると、お互いが邪魔になる。邪魔になる相手は倒せばいい。結果的に貞子と伽椰子がぶつかって二人ともその巨大な力によって消滅して呪いが解けるというのが常盤の考えでした。まぁ、これも「どっちかが生き残ったら呪いとけないやないか―い」と突っ込めはしますが、細かいところは置いておきましょう。発想自体は面白いと思いませんか?
ただ、肝心な対決の場面。これが個人的にはイマイチでした。まず、貞子と伽椰子がぶつかるまでがかなり間延びして、二人が同時に出てくるシーンがほんとラストの方だけだったんですよね。で、対決の場面がけっこうあっさりしちゃってた。お互い人を呪い殺せるぐらいの力を持つ強力な霊どうしなわけですから、それはもう血みどろの戦いが繰り広げられるのでは?と期待していたわけです。ところが、そういう展開にはならず物語は割とあっさりクライマックスまですすんじゃってます
もちろん、映画や登場するキャラクターの違いもあるので単純に比較するのは違うかもしれないけど、『フレディVSジェイソン』では二人ともメチャメチャ戦闘が激しかったし、最後の方で手は千切れ体には穴が開きのフレディもジェイソンもボロボロだったぞと。バケモン同士の戦いっていうのはこういうもんだろ!というのが僕の頭の中にあったのでね、どうも今回の『貞子VS伽椰子』は肩透かしを食らった感じが否めず結果的に「あんま楽しめかったな・・・」となってしまいました。
霊能者が出てくる展開はちょっとワクワクした
貞子が出る『リング』にせよ伽椰子が出る『呪怨』にせよ、根本的に呪いを解決する方法って今まで示されてこなかったんですよね。そこに今回、霊能者が登場して除霊をする」という形で呪いに対してアプローチしようとするわけです。これって多分『リング』も『呪怨』もシリーズ通じて初めてだったんじゃないかな?(違ってたらごめんなさい)今までは、いったん呪われるとあとはほぼ致死率100％で何も抵抗できずに「ギャアー」って叫んで死んじゃうっていうパターンがほとんどでしたからね。
そこに霊能者が登場することで、多少なりとも希望の光が見えるわけです。「もしかしたら今回は助かるのかも?」っていうね。このいつもと違うパターンが僕にはとても新鮮だったし、「はたして彼女たちの強力すぎる呪いは解けるのか?」っていうワクワク感とか期待感みたいなものも最後まで持つことができました。そこは良かった部分かなと思います。
まとめ
今回は『貞子VS伽椰子』を紹介してみました。他にも「呪いのビデオ見た人の死に方でこういうのってありなの?」っていうところがあったりとか、ツッコミどころのある作品です。
正直なところメチャメチャ時間がない人が、あえてこの一作を時間をかけて観る必要はないかなと。観るなら僕のような暇人か、「どうしても貞子と伽椰子の対決が観たいんじゃ―!!」っていう人にだけおススメします。
