今やハリウッドでもかなりの地位を確立した感のある『ジョニー・デップ』と『レオナルド・ディカプリオ』
実は彼らが若かりし頃に共演した作品があるのをご存知でしょうか?それは『ギルバート・グレイプ』という作品なのですが、この映画がなかなか良かったんですよね。
ジョニーも良かったしディカプリオも良かった。また物語もけっしてアッと驚くような何かがあるわけじゃないんだけど、各々の人生の苦悩や葛藤なんかをうまく描いている良作だなと思ったわけです。
そんなわけで今回はこの『ギルバート・グレイプ』という映画について、あらすじから感想まで書いていこうと思います♪
ギルバート・グレイプのあらすじ、感想
あらすじ
舞台はアイオワ州の小さな田舎町。主人公はジョニー・デップ演じるギルバートという24歳の青年。父親は17年前に自殺し、母親のボニーはそのショックで過食症から重度の肥満体になり、7年前から一歩も家を出ていません。もうすぐ18歳になる弟のアーニー(レオナルド・ディカプリオ)は知的障害でギルバートが面倒を見ており、他に姉のエイミーと、妹のエレンがいます。
ギルバートはこの家の次男ですが、長男は既に家を出て独立しており、彼が地元の食料品店で働きながら一家の生活を支えています。
そんなギルバートでしたが、実はこの田舎町から一度も出たことがありませんでした。毎日弟や家族の世話をしており、自分だけが家族を残して街を出ることができなかったからです。
そんな生活に嫌気がさしつつもどうにもできない日々を送るギルバート。そんなある日のこと。ギルバートは祖母と共にトレイラーで旅をするベッキー(ジュリエット・ルイス)と出会います。ベッキーは祖母が運転するトレイラーがたまたまギルバートたちの街で故障したため、しばらく街で生活することになったのです。
土地や家族に縛られた自分とは対照的に、あちこちを旅しながら生活をするベッキーにギルバートは次第にひかれていきます。
家族の絆の素晴らしい部分と、家族が時に足かせになることを実感する作品
ギルバートは実に家族思いの青年です。知的障害をもつアーニーの面倒をしっかり見ており、お風呂に入れてやったり、彼が街で騒ぎを起こしたり、からかわれたりした時にはしっかりと守ります。
また先述したように、一家は父が亡くなり、母も過食症からくる極度の肥満で働けないため、経済的な負担は食料品店で働く彼が担っています。24歳と年齢も若くまだ遊びたい年ごろにもかかわらず、かなりしっかりとした青年と言えるでしょう。(別のところで火遊びをしたりしてますが)また、姉や妹も弟や母親のことを気遣い、家事を分担したり、世話をするなど家族で支え合う部分はとても素晴らしいなぁと思いました。
ただその一方で、ギルバートはすごく家族に縛られてもいるよなぁと思うんですよね。彼はこれまで家族のことを第一に考えてきたため、ベッキーから「したいことは?」と聞かれた時に答えに詰まっちゃうんですよ。
おそらく、これまでもそういうことを考えたことってあると思うんだけど、その度に「家族のことがあるから」って自分の気持ちを押し殺してきたんじゃないかな?そのため、いつの間にか「自分自身がしたいこと」っていうのがわからなくなってしまった。うーん、これって気の毒だよなぁと思ったわけです。
かといって、障害のある弟や夫の自殺でショックを受けた母親を放り出してどこかに行くわけにもいかない‥‥‥。ギルバートの手詰まり感だったり、苦悩や葛藤は映画を観ているとひしひしと伝わってきましたね。多分飛び出そうと思えばいつでも飛び出せる。でも、やっぱり家族があるからと踏みとどまってしまう。ブレーキを踏んでしまうのでしょう。
もし彼と同じ立場になった時に、自分だったらどうするのだろうか?と結構真剣に考えてしまいました。でも、パッと答えが出てこない難しい問題です。
知的障害を持つ家族との生活がどのようなものなのかがよくわかる作品
「知的障害の家族と共に生活する」ということ。これがどのようなものなのかは僕にはわかりません。せいぜい、テレビや本で彼らの生活を見聞きし想像することぐらいです。
で、先述したようにギルバートの弟アーニーは知的障害なんですね。アーニーは作中18歳になりそれなりに体も大きいのですが、言ってしまえばとても幼い子供のようなもので、あまり善悪の区別や何をしていいか悪いかがあまりわかっていないような感じです。
そんな彼がバタバタと子供のように家じゅうを走り回ったり、場所を問わず耳にした言葉を大きな声で繰り返したり、街にある高い給水塔に上って警察沙汰になったりするわけです。そして、それを注意されても彼は繰り返し行ってしまいます。
ギルバートを始めグレイプ家の人たちは、アーニーをよく世話していると思うし、それ自体はほんとにすごいと思うけど、はたから見たらめちゃめちゃ大変だと思うんですよね。
体の大きいアーニーを抑えるのだって一苦労だし、彼が何かをやらかした時の責任はすべて家族にかかってくるわけですからね。ギルバートを始め家族は献身的にアーニーを支えているけど、それだっていつまでも持つかわからない。
そういう現実的に起こり得る問題についても考えさせられましたね。だからこそ、余計にギルバートに感情移入ができたし、彼の苦悩とか葛藤みたいなものにも共感ができたとも言えるんだけど。
アーニーを演じたディカプリオの演技がすごい!!
知的障害を持つアーニーを演じたのはレオナルド・ディカプリオです。僕は演技のことなんて素人ですが、この作品の彼の演技はすげぇなと思いました。
なんというかな、「知的障害を持つ人のことをすごい観察したんだろうな」っていうのがよく伝わってきます。ちょっとした力の抜けた表情とか、子どもの様な無邪気な感じで走り回る姿とか、感情むき出しで泣いたり、「やめてぇ」と嫌がったりする場面とかね。
実際この作品でディカプリオはアカデミー賞にノミネートされてますからね。本作ではぜひディカプリオの演技にも注目してほしいです。
こんな人におススメ!!
- ジョニー・デップ、ディカプリオ好き人
- 派手なアクションや演出ではなく、日常を描いたヒューマンドラマが好き人
- じんわりと泣きたい人
- 次へのステップをなかなか踏めなくて悩んでいる人
まとめ
そんなわけで、今回は『ギルバート・グレイプ』という作品の感想を書いてみました。
家族に縛られたギルバートはベッキーとの出会いを通じてどう変化していくのか?ラストに彼やその家族はどうなっていくのか?その辺りもぜひ観てほしい。
どちらかというと地味な映画ではありますが、とても現実的だしだからこそ主人公のギルバートに共感できる人は多いと思います。また観終わった後にじんわりと暖かい気持ちになれる作品です。
興味がある方はぜひご覧になってみてください。