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『それでも夜は明ける』アカデミー賞受賞!!アメリカの奴隷制度を正面から描いた衝撃作!!

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見たらその内容を言わずにはいられない。そんな作品に時々出会うことがあります。つい先日僕が観た『それでも夜は明ける』という映画もまさにそうでして、とにかくその内容が衝撃的。

 

この作品がどういう作品なのかというと、アメリカの負の歴史である奴隷制度について取り扱った作品です。で、驚くべきなのはこれ、実際に12年間奴隷として過ごした人の回想記を基にした作品なんですよね。12年ですよ!!僕らには全く想像もつかない世界ですよね。では、具体的には一体どんな作品だったのか?まずは、本作の概要とあらすじから説明しましょう。

 

概要、あらすじ

監督はスティーヴ・マックイーン(俳優ではない)。12年間奴隷として過ごした主人公ソロモン・ノーサップをキウェテル・イジョフォーが演じる。ノーサップが働く農園の非常なオーナーはマイケル・ファスベンダー。農園で働く女性の黒人奴隷をルピタ・ニョンゴ。その他ベネディクト・カンバーバッチやブラッド・ピットも出演。

 

舞台は1841年のニューヨーク。ここに住むソロモン・ノーサップはバイオリニストで、妻と二人の子供がいてお金に不自由することもなく幸せに暮らしていた。(彼は奴隷ではない自由黒人という立場)ある日ソロモンは、二人の白人から仕事を持ちかけられる。しかし、それは彼らの罠だった。ノーサップは薬を飲まされて意識を失う。気が付くと手錠をはめられ足かせを付けられた状態で身動きができなくなっていた。彼を監禁している男たちはなんと彼を奴隷として売るという。本来自由黒人を奴隷売買することは禁じられているのだが、結局その意見は聞き入れられずノーサップは奴隷として売られてしまう。ここからノーサップの奴隷としての苦難の12年間が始まる。

 

※ここからはネタバレアリでお願いします

 

当時の奴隷たちがどれだけひどく扱われていたのかがよくわかる作品

この作品ははっきり言うと観れば観るほど胸糞悪くなるし、しんどくなる人も多いと思います。なぜなら、奴隷(主に黒人)の人たちがいかにひどい扱いを受けていたのか、残酷な仕打ちにあっていたのかを綿密に描いている作品だからです。

 

そもそも、まずノーサップ自身が奴隷になった経緯がヒドイ。彼が住んでいたニューヨーク州っていうのは奴隷制度が禁止されていたんですね。で、彼を罠にはめた白人たちはわざわざ奴隷制度が合法だったワシントン州に彼を連れていき、そこで奴隷商人に売りさばいたんです。そこまでしてなぜ奴隷を売買していたかというとそれは単純に儲かったから。

 

当時、アメリカの南部地方では綿花の栽培が盛んで人手がほしかったんですね。で、体の強い健康な黒人の奴隷の需要が高かったんです。いったん奴隷として買ってしまえば最低限の食事と住む場所だけ提供すると、あとはタダ当然で労働力として使えるわけですから、農園のオーナーからすると奴隷というのは実においしい存在なわけです。

 

しかも奴隷というのは人間扱いされないんですよ。農園のオーナー(白人)にとって、彼らは所有物であり家畜と一緒なんです。奴隷には人権というものがない。すると、どうなるか?ものすごく過酷な労働環境が当たり前になります。罵声は浴びせるわ、言うことを聞かなければ肉が裂け血が出るのなんてお構いなしに鞭でぶったたきます。それでも言うことを聞かなければロープで吊るし首にして殺してしまうことも。奴隷が途中でぶっ倒れようが死んでしまおうが関係ないんです。なぜなら人として見ていないから。

 

人間というのはここまで残酷になれるのかと。しかも、そうやって奴隷をさんざんこき使っているオーナーのエップスが聖書を読んでたりするんですよ。いやいや、聖書の教えだと人間は神様の前だとみんな平等じゃん。教えに矛盾してるじゃないですか。でも、いいんです。なぜなら奴隷は人間じゃないので平等に扱わなくていいわけですから。何その理屈って話ですよね。でも、南部の奴隷所有者たちは「奴隷は人間じゃない。単なるものであり家畜だ」という価値観が当たり前すぎて疑いすらしないんですよね。

 

本作では奴隷たちがひどい仕打ちを受けるシーンの連続ですが、特にそうした仕打ちの中でも衝撃的だったのは、農園のオーナーエップスが女性の黒人奴隷パッツィーに対してした仕打ちの数々です。パッツィーは綿花を摘む数も他の奴隷より多い働き者でエップスに気に入られています。それは単に労働者としてというだけでなく、性の対象としても。そう、パッツィーはエップスから性的暴行を受け続けているんですね。もちろん、これは罪に問われません。自分の所有物をどう扱おうがオーナーの勝手だからです。

 

しかしパッツィーはちょっとしたことでエップスの怒りをかってしまい、むち打ちの刑に処せられます。服を脱がせて全裸にしてのむち打ち刑。しかも、エップスはそれをノーサップにやらせる非道ぶり。当然ノーサップは強く鞭を打つことができず手加減をします。すると、エップスは鞭を奪い取りパッツィーを激しく鞭でたたきます。泣き叫ぶパッツィー。彼女の背中はみるみる肉が裂け血で真っ赤に染まっていくんです。これをすぐ横で見ていたノーサップはあまりにひどい仕打ちにうなだれながらこういいます。

 

「人でなしめ・・いつか・・・永遠の正義によって汝の罪は裁かれる」

引用元:『それでも夜は明ける』

 

その言葉に対してエップスは悪びれることもなく言い返します。

 

「罪だと?これは罪じゃない 所有物で遊んでるんだ 今私はすごく楽しいんだ これ以上気の晴れる遊びはない」

 

人に鞭を打つことは所有物で遊んでいるにすぎないし、それがすごく楽しい・・・。お前正気なのか?って思いますよね。このやり取りが果たして事実なのかはわかりませんが、おそらくそれに近い思考の持ち主が南部の農園オーナーたちには多くいたんだろうなと。

 

人生の理不尽さをこれでもかというぐらい見せつけられる

ネタバレアリというかタイトルからして想像できると思いますが、ノーサップはとてつもなく運よく奴隷から抜け出して元いたニューヨークの家に戻ることができます。自由黒人としての地位も取り戻せたし、家族もみんないておまけに娘は結婚していて孫まで誕生している。別れた家族との再会シーンは確かに感動的で涙なしでは見れないし、彼の苦難の日々を思うとほんとによかったなと思うけど、決してメデタシメデタシという話ではないんです。なぜなら、それはあくまで彼個人に限っての話だから。

 

考えてみるとノーサップが脱出できたエップスの農園にいたほかの黒人たちは、当然奴隷のままなんですよ。彼らはそれまでと変わらず過酷な労働と理不尽な仕打ちを受け続けるわけです。ノーサップはものすごく前向きに捉えれば12年で済んだわけですよね。いやっ、12年も地獄ですけど、他の奴隷の中には下手すれば一生奴隷として働き続けて死んでいく人だっているだろうし、実際にいたんだと思います。

 

単に肌の色が黒く生まれてきたからというだけで、奴隷として家畜のように扱われてしまう。その黒人の中でだってたまたまノーサップのように自由黒人として生まれてきたことで奴隷にならずに済んだ人もいる。生まれた場所が奴隷制度を禁止していたから奴隷にならずに済んだ人もいる。ほんのちょっとの違いが、その人の人生を全く違うものに変えてしまう可能性がある。

 

人生は何と理不尽なのものなのだろうか。ありきたりなんだけどこの映画を観るとそんな感想を抱かずにはいられません。それぐらい奴隷制度というのは理不尽の極みのようなものだったと思います。奴隷のまま自分の人生を送ることができないまま一緒を終えた人たちのことを想像すると、涙が出てきますね。

 

アメリカの差別の根深さも理解できる

アメリカではいまだに黒人に対する差別があると聞きますが、本作で描かれてきたように、ほんの150年ほど前まで南部では黒人たちを人間とすら思っていなかったわけですよね。それが南北戦争(1861~65)で奴隷が禁止になったとはいえど、じゃあ昨日まで単なる所有物であり家畜として扱ってきた黒人たちを、自分たち白人と同じく平等に扱えるかといったらそれは難しいんだろうなと。彼らの中にある差別意識って相当根深いのわかりますもん。この映画を観てると。だから結局ズルズルと100年経っても150年経って、どこかで人々の中に差別の意識が残り続けているんだと思います。

 

でも、あれだけ絶望的な奴隷制度だってなくなったし、社会は少しずつ良くはなっていってるんだとも思うんですよね。そう信じたいし、これから僕ら自身もそうしていかなきゃいけないよなとこの映画を観ていて改めて思いました。

 

まとめ

今回は『それでも夜は明ける』という作品の感想を書いてみました。決して笑える映画ではありませんし、陰惨なシーンも多いですが、アメリカ社会の負の歴史である奴隷制度について知るきっかけになる素晴らしい作品だと思うので、ぜひご覧になってみてください。

 

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※本ページの情報は2019年11月時点のものです。最新の配信状況はAmazonプライム・ビデオのサイトにてご確認ください。