エンタメなしでは生きてけない!!

これは面白い!!これは人にすすめたい!!そんなエンタメ作品の紹介をしていきます!

『漫画貧乏』漫画家とお金の話。漫画家志望の人は読んでおいて損はないぞ!!

※このブログはアフィリエイト広告を利用しています。記事中のリンクから商品を購入すると、売上の一部が管理人の収益となります。

漫画家は儲かるのか?

 

のっけから金の話かよと思う方もいるかもしれませんが、これって結構大事な話だと思うんですよね。中には「漫画を書いてればいい」っていう漫画家さんもいるとは思うんだけど、おそらく「漫画が描き続けられて、なおかつ売れてそれなりに余裕のある生活をしたい」っていう人は多いんじゃないかと。

 

じゃあ、実際に漫画家はいくら稼げるのか?その内訳は?はたしてもこれからも稼ぎ続けられるのか?っていう質問をされたときに、答えられる人ってそう多くはないと思うんですよ。これは、僕のような別に漫画家志望じゃない人に限らず、これから漫画家を目指すような人だって同じことで、自分が飛び込もうとしている世界でどれぐらい漫画を描いたらいくらお金をもらえて、本が何冊売れたらいくらもらえてといったことすらよくわからないというのが現実なのではないでしょうか。

 

で、今回はそんな漫画業界のリアルなお金の話に真っ向から切り込んだある作家さんの本を一冊紹介しようと思います。それがこちら。

 

著者の佐藤さんは『海猿』や『ブラックジャックによろしく』などドラマ化されるような人気作を数々生み出した漫画家さんです。本作ではそんな佐藤さんが直面した原稿料の話、印税のこと、出版社との軋轢、出版業界の未来の話ことなど、かなり現実的な話が盛り込まれた一冊になっています。

 

漫画は儲からない。その現実を具体的な数字で説明

本作は前半部分が佐藤さんのプロフィール(2008年まで)を紹介した漫画で、後半部分は漫画業界のこれからのことから、漫画の原稿料、印税、ヒットしたらいくら儲かるのかなど、かなり具体的な数字を盛り込みながら説明しています。

 

おそらくここまで数字と向きあった漫画家さんってそう多くはないんじゃないでしょうか?おそらく、多くの漫画家さんは、日々作品を仕上げることや売れるかどうかが関心の大半を占めているだろうし、せいぜい「単行本の10%が印税として入ってくるぞ」ぐらいしかわかってないと思うんですよね。

 

ましてやそれがこれから漫画業界を目指そうとしている新人さんであれば、それはもうそんなことが頭にすら浮かばない。

 

でも、考えてみるとそれって危険なことじゃないですか?だって自分が今いる業界や、これから進もうとしている業界で、どうすればいくら儲けられて、どれぐらいの人が余裕のある生活をできて、どのぐらい本が売れれば暮らしていけるのかっていうのを知らないなんて。

 

本書では、そうした細かい数字について佐藤さんがこれまでの経験から算出してくれているわけですが、はっきり言って「漫画家の状況はかなり厳しい」と言わざるを得ない。佐藤さん自身も「漫画家は儲からない」と本書の中で述べています。

 

まず印象的なのは「原稿料だけでは食べていけない」という現実です。佐藤さん自身は、『海猿』を連載し始めたころ原稿料は1ページ1万円だったそうです。1話20ページなので、週にもらえる原稿料は20万円。月にすると×4で80万円の原稿料が入ってきます。

 

はたしてこれを多いと思うか少ないと思うかですね。結論から言うと少ないんです。

 

「えっ?でも月80万円だったらかなり高給取りじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。確かにパッと見はそれなりにもらっているようにも見えます。ただ、それはその80万円がそのまま手元に残ればの話。ここから税金や様々な経費がひかれていくわけです。

 

実際にかかった経費の内訳をみてみましょう。

まず原稿料80万円の内、源泉税が10%引かれた額が出版社から僕の口座に振り込まれます。

残りは72万円です。

当時は会社組織化しておらず、作画は一部を外部作画スタッフに委託していたので、その費用が月47万円で残りが25万円。

仕事中のスタッフの食事代は漫画家が支払うのが業界の慣例となっていて、その食費が約10万円で、残りが15万円。

画材大、資料代が約10万円で、残り5万円。

自宅兼、仕事場として使っていたアパートの家賃が7万円で、残りがマイナス2万円。

さらに光熱費など諸経費が5万円で、残りマイナス7万円。

引用元:『漫画貧乏』p53 佐藤秀峰 PHP研究所

 

最後よーく見てくださいね。

 

「残りマイナス7万円」

 

つまり、連載を始めた場合には原稿料だけではトントンどころか赤字に陥ってしまうわけです。

 

これだと漫画家は破産してしまうわけでやっていけませんよね?じゃあどうするか?というと「単行本の印税で取り戻す」という形になるわけです。

 

では、単行本の印税で必ず取り戻せるのかというとそこもまた厳しい話なんです。佐藤さんに関して言えばかなりヒット作に恵まれたのでその限りではないけど、多くの漫画家さん、具体的には「単行本を1~2冊出して連載終了しました」っていう人の場合、下手をすれば借金を抱えたまま連載を終える可能性すらあります。

 

まぁ、そのあたりの細かい話はぜひ本書を読んでみてほしいところなのですが、あまりに夢がない話に漫画家目指してる人とかけっこう愕然とするんじゃないかと。

 

「えー?漫画家ってこんなに食えないの?」

 

あまりにも赤裸々な業界のお金の話にショックを受ける人もいると思うんですよね。でも数字とお金の話って目をそらしちゃいけないわけです。だって、漫画家目指す人はその漫画で食っていくわけですから。自分の仕事がいくら稼げるのかがわからなければ生活は破綻してしまいますよね?そういう点で、かなり事細かに漫画家に関わる数字の話をしてくれている本書は、漫画家志望の方や、漫画家の方、これから何らかの形で業界に関わっていきたいと考えている方が読んでおいて損はない一冊だと思います。

 

まとめ

今回は佐藤秀峰さんの『漫画貧乏』という本を紹介してみました。

 

後半に入ると、この厳しい業界の中で佐藤さんがどうあがいているのか、どういう未来を描こうとしているのかその一端に触れることができます。

 

そちらも含めてかなり読み応えのある一冊になってますので、興味がある方は是非ご覧になってみてください。