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『先生白書』アシスタントから見た冨樫義博先生の姿とは?

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僕の好きな漫画の一つに、『HUNTER×HUNTER』という作品があります。1998年から連載が始まった人気漫画ですね。連載は20年を超えますが、まぁ、色々理由があって今のところ単行本は36巻までの発行。ちなみに、同じ年に始まったワンピースは既に90巻を超えていたりします‥‥‥。

 

そのHUNTER×HUNTERの作者といえば冨樫義博先生です。HUNTER×HUNTERの他にも、『幽☆遊☆白書』や『レベルE』など少年ジャンプで記憶に残る作品を描き続けています。僕はジャンプ黄金期に小学生というドンピシャの世代なので、当時ドラゴンボール、SLAMDUNKと共に大人気だった幽☆遊☆白書のことは、今でも鮮明に記憶に残っています。今でも時々読み返したくなるぐらいに好きな作品の一つですね。

 

で、僕が今回紹介するのはその冨樫先生の作品‥‥‥ではなく、冨樫先生のアシスタントを務めていた方の作品です。それがこちら!!

 

著者の味野先生は冨樫先生が幽☆遊☆白書やレベルEを連載していた時に、アシスタントを務めていた方です。本書はその味野先生目線で、まだ人気作家になる前の冨樫先生の姿や性格、連載していた漫画の制作秘話、人気漫画家となり少しずつ変化していく環境の変化などを描いています。

 

冨樫先生のファンや、幽白連載している当時の様子なんかを知りたい人は読んでいて楽しめる作品です。

漫画家、冨樫義博のこだわりとは?

個人的に興味深かったのは、冨樫先生が漫画制作時にとある部分にとてもこだわっていたことです。それは「線へのこだわり」です。

 

味野さんによると、冨樫先生は背景のミスに関してはけっこうおおらかだったそうですが、こと線に関してはこだわりが強かったようです。ちょっとその辺がよくわかる冨樫先生と別のアシスタントの人のやりとりの部分を引用してみます。

 

この効果線 線と線の間をベタで塗ってますよね?

はい・・・

そうじゃなくて 線と線が密になって 黒くなるような感じにしてもらえますか?

1本1本引くんですか?

ええ そうしないと 勢いが出ないんで

引用元:『先生白書』p29 著者 味野くにお イースト・プレス

 

この辺りのこだわりは、さすが人気漫画家という感じで、読みながら「さすが!!」と思った場面でした。しかし、そんな冨樫先生も連載で多忙になる中で、だんだんと絵が荒れていったということも本書には描かれていて、週刊連載の過酷さとか、漫画家としての理想を貫けない現実の厳しさというのも垣間見ることができましたね。やはり、週刊連載は大変だ。

 

そんな冨樫先生の様子を見て担当さんが、「キャラのペン入れもアシスタントに任せたら?」と提案するのですが、冨樫先生はきっぱり断ります。

 

いや・・・

それだけはやりたくないですね・・・

それやっちゃうとですね

漫画家として終わりだと思うんで

引用元:『先生白書』p91~92

 

「か、かっけぇェェ!!」

 

プロとしての意地、こだわりがこの言葉に集約されているように思います。まぁ、だからHUNTER×HUNTERもつい連載が滞りがちになってしまうのかな?なんて思ったり。(今も同じようにペン入れを自分でしているのかは分かりませんが)

 

まぁ、読者としてはできれば継続的に読みたいところですけどね。でもこういうエピソードを聞いてしまうと、「そこまでこだわってるなら遅くなってしまうのもしょうがないか‥‥‥。」と思ってしまいます。まぁ、ただ個人的には「ペン入れ多少アシスタントに任せてもいいからもうちょい長い期間続けてくれー」という本音もちょろっと付け加えておきます。

 

冨樫先生の仕事場での様子は?

こういう、漫画家の日常を描いた漫画が面白いのは、その漫画家さんの日常や行動、性格など普段はあまり知ることができない一面に触れることができることだと思います。

 

で、この味野さん目線の冨樫先生について一言で評すると「気さくで優しい先生」という感じでした。うーん、なんて言うんでしょうか。いい意味で普通というかな、「この人イカレてるな」という要素はあまりなかったように感じます。

 

以前に僕が読んだ、『ブラックジャック創作秘話』で描かれていた手塚治虫先生なんて、まさにぶっ飛んでる人でしたからね。仕事量も含めマンガへの向き合い方がハンパじゃないというか、もう狂気をまとっていると言っていいレベル。ハッキリ言って頭のねじ何本か外れてるんじゃねって思いましたもん。アシスタントも編集者も関係者みんなそんな手塚先生にブンブン振り回されて右往左往してるわけですよ。

 

参考記事:天才の仕事現場に驚き!!『ブラック・ジャック創作秘話』がおもしろい!! - エンタメなしでは生きてけない!!

 

当時の関係者の人たちはその時の様子を笑いながら話すわけだけど、その場にいたらほんと消耗しただろうなぁと。実際編集者の人なんか手塚先生の原稿をもらうために、先生の仕事場に泊まりこんだりするわけですからね。他にも考えられないエピソードが盛りだくさんなわけです。

 

まぁ、それぐらいぶっ飛んでいたからこそ手塚先生自身のことを漫画にしてもおもしろいわけです。ほんとに手塚治虫先生の仕事場での様子は常人とはかけ離れていたと思います。

 

一方冨樫先生はというと、アシスタントさんとも気さくに話をするし、接し方も敬語で丁寧だし、会社員と同じように味野さんと他のアシスタントさんにボーナスをくれるし、連載がハードでもアシスタントにつらくあったりイラッとした様子を見せることないしということ、「あっ、この先生普通にいい人だ」という感じでした。

 

もちろん、ここで描かれている冨樫先生の姿というのはアシスタントさんからの目線にすぎません。ただアシスタントという自分の助手のような立場の人たちに対しても、横柄な態度をとらず丁寧に接していた冨樫先生にはとても好印象をいだきましたね。

 

今はどうなんだろう?今回の味野先生は幽☆白☆白書とかレベルEまでのエピソードだから、いつか「HUNTER×HUNTER時代のアシスタントが描く冨樫義博の姿」みたいなものも読んでみたいところです。

 

正直、ちょっと物足りなさを感じるかも‥‥‥。

個人的にはクスクスと笑えるところもあったり、冨樫先生の仕事場での様子なんかも知れてよかったのですが、その一方で「ちょっと物足りないかもな」と思うこともありました。なんというか、もうちょい「あの作品の裏にはこんなエピソードがあったのか!?すげぇぇ!」みたいな話が読めればよかったのかなと。

 

やっぱりだいぶ前に読んだ手塚先生のぶっ飛んだエピソードが、インパクトでかすぎたのかなぁ(笑)まぁ、手塚先生は唯一無二といっていいレベルの人なので、冨樫先生と比較しちゃういけないとは思うんですけどね。でも、仕事場の様子っていうのはアシスタントとか編集者ぐらいしかわからない部分ではあるので、読者としてはそこで予想外の驚きというか、「えー!?そうだったの?」みたいな発見をしたいわけです。その辺の期待を上回ってきたかというと、うーん‥‥‥というのが正直なところです。

 

まぁ、味野先生がアシスタントをされていたのはもう20年以上前の話ですし、どうしても忘れてしまったり曖昧な部分はあるので、エピソードを深掘りできないのはしょうがないのかなぁ。そこはちょっと惜しいなと感じた部分でした。

 

まとめ

今回は冨樫義博先生の仕事場での様子を描いた『先生白書』という漫画の感想を書いてみました。

 

基本的にはほのぼのとした内容ですが、人気漫画家の仕事場での様子とかクスリと笑えるエピソードなんかもちょこちょこあって個人的には読んでいて楽しめる作品でした。

 

多少物足りなさは感じますが、当時の冨樫先生の様子や、連載や仕事との向き合い方、性格などもざっくりとではあるけど知ることができるので、冨樫先生や先生の作品のファンの人なんかには楽しめると思います。興味があればご覧になってみてください♪