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『コララインとボタンの魔女』大人も子供も楽しめるちょっと不気味で魅力的なダークファンタジー。

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僕は元々『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(以下ナイトメアと省略)のような、ちょっと不気味な世界観のストップ・モーション・アニメが好きです。ストップモーションならではのぎこちない動き、ゾッとまではしないけどちょっと怪しげな雰囲気がキャラクターやその世界から漂っている。そんな作品に魅力を感じるんですね。

 

そのナイトメアの監督であるヘンリー・セリックが監督を務めたのが、今回紹介する『コララインとボタンの魔女』です。本作は元々児童文学作品を3Dストップ・モーション・アニメとして映画化。2009年にアメリカで公開されています。

 

 

今回はこの映画の感想をお伝えしていきます。

 

※ネタバレ有りなのでよろしくお願いします。

感想

大人にも子供にも教訓を与えてくれる

本作を観ていてまず思ったのは、「大人にも子供にも教訓を与えてくれる作品だな」ということでした。

 

どういう教訓を与えてくれるのか。結論から言えば「おいしい話には御用心」といったところでしょうか。その辺りはあらすじを追いながら具体的に話していきます。

おいしい話、それホント?

本作の主人公はコララインという11歳の少女です。彼女は両親と3人家族。物語序盤で新たな築150年にもなるピンクパレスアパートに引っ越してきた一家ですが、仕事が忙しい両親は彼女にちっともかまってくれず、声をかけても適当にあしらうだけ。父親が作る料理はまるでスライムのような見た目でそれにも不満。転校したため友達もおらず、寂しい日々を送っています。

 

両親がかまってくれないため、コララインは仕方がなく古い家を探索していると、壁に埋められたような小さなドアを発見します。そのドアを開けると、狭い通路になっていてどこかにつながっている模様。好奇心が強いコララインが通路を抜けると、そこには自分が今いる世界とそっくりな別の世界があったのです。

 

その世界の住人はなぜか目がボタンなんです。初めは疑問を持っていたコララインですが、やがてこの世界に惹きつけられていきます。なぜなら別の世界がものすごく魅力的だったからです。現実と違ってこっちのパパやママはコララインの言葉に耳を傾けかまってくれます。作る料理はバラエティ豊かだし、見た目が華やかで美味しい。現実世界ではかなり変わっている近所の住人たちも、もう一つの世界ではエンターテイナーで楽しい人たちなんです。何よりみんながコララインという存在を認め受け入れてくれている。つまり、彼女からすると理想的ともいえる世界だったわけです。

 

ところが、素晴らしいと思っていた別の世界。実は魔女が人間の子供をおびき寄せるための世界であることが判明します。魔女は別の世界で理想的なママになりすまし、コララインの理想を叶え続けることで、彼女を別の世界に来るように仕向けていたのです。では、なぜそんなことをするのか?それは彼女を食べるためです。

 

魔女の正体は実はクモ。実際のクモは自らの出した糸に獲物をひっかけて食べますが、本作では理想的な別の世界全体がまさにクモの巣のような罠になっていたわけです。コララインは危うくこの罠にかかってしまうところでした。

 

これは現実にもよくある話でしょう。僕たちも生きていると日々不満を抱えていたりしますよね。それが例えば「友達がいない」とか「お金がない」とか人によって様々なわけです。そうした不満を抱えている時に、その不満を解消してくれる人や場所が現れたら?友達がいない人が頻繁にかまってくれて「寂しいの?じゃあ話し相手になるよ」と言ってくれる人と出会ったらどうでしょうか?人によってはついて行ってしまうかもしれませんよね?

 

しかし、そうしたおいしい話には御用心。友達になってくれると思ってついて行ったら利用されてしまったとか、騙されてお金を奪われたり場合によっては命を奪われてしまうなんてことが現実であったりしますよね。

 

もちろんそうした話が全て嘘だとか、罠だというつもりはありません。ですが、あなたが求めるものを全て満たしてくれる、不満を全て解消してくれるようなおいしい話というのは現実にはなかなかないと思うんですよね。なのでそういう話がもし出てきた場合、盲目的に信じるのではなくちょっと疑うとか、慎重に行動してみる必要はあると思うわけです。

 

大人も子供も自分の求めるものを与えられると弱いものです。自分が持っている不満が大きければ大きいほど、それを解消してくれるものや人になびいてしまう。人を騙したり何とか都合よく利用してやろうとする相手というのは、そういうところを巧みについて「おいしい話」をエサに誘い出してきます。そういう点で、本作は大人にも子供にもいい教訓を与えてくれるのではないでしょうか。

 

子供にちゃんと向き合ってる?

もう一つ、これは大人への教訓だなと思ったのは「大人は子供ちゃんと子供に向き合えているか?」というものです。

 

先述したようにコララインは自分に構ってくれない、自分のことを見てくれない両親に対する不満が溜まっていて、それが自分の理想を与えてくれる別の世界に誘われるきっかけになってしまったわけですよね。

 

コララインの両親は共働きで忙しい。だから、子供に構ってられない。それは仕方がないことです。コララインは11歳である程度自分のことは自分でできる年齢ですし。でも、子供っていうものはやはり親に見てほしい、認めてほしいものだとも思うんですよね。そういう子供の欲求を無視し続けると、親との間に距離を感じたり、寂しさを満たすために、おいしい話に引き寄せられたり、安易な道に逸れてしまうなんてこともあるのではないでしょうか?

 

僕は結婚もしてないし、親でもないので偉そうなことは言えませんが、本作を親御さんが見るともしかしたら「ドキッ」とするかもしれません。特に作中の両親と同じく仕事などでなかなか子供に構ってあげられない親御さんのような人であれば、子供の抱える不満なんかがわかるだろうし「もっと構ってあげたほうがいいのかもしれない」と気付けるかもしれない。

 

子供向けのアニメかもしれないけど、むしろ大人になってからの方が色々と本作の意図や教訓に気づけるかも。子供がいる親御さん。ぜひ、お子さんと一緒に本作を観てみましょう。

 

不気味なキャラクターや世界が魅力的

全体的に暗めの色で構成された建物や自然。美しさと暗さを兼ね備えて背景の部分だけでも惹きつけられます。特に冒頭の殺伐とした風景が僕的にはすごく好み。(おそらくこれはコララインの寂しい心情を表していると思われます)あとはやけに細長い顔、首、胴体にこれまた棒のような手足の人や、逆にずんぐりむっくりな体系の人たち。基本的に人も動物もキャラクターたちはアンバランスなキモかわいい見た目をしています。

 

そして、ストップ・モーション・アニメならではのちょっとぎこちない動きが、またこの不気味で怪しげな世界やキャラとマッチしてていいんですよね。

 

この辺は完全に僕の好みだし、はっきり言ってティム・バートン的な不気味さやにじみ出る陰鬱さみたいなものが苦手っていう人は本作も苦手かもしれない。でも、逆に好きな人はこういうのホントに好きだと思います。

 

もし食わず嫌いの人一回観てほしい。不気味だけど不思議な魅力が作中を通して伝わってくるはずです。

 

まとめ

今回は『コララインとボタンの魔女』の感想を書いてみました。作中の考察なんかは他の人のブログやサイトなんかにもあるし、長くなっちゃうので今回は省略。

 

大人も子供も楽しめて教訓も得られちゃう、ちょっと不気味で不思議な世界をあなたも覗いてみませんか?興味のある方はぜひ!!