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『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』の感想を書いてみた!!

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食わず嫌いはいかんなぁなんて思って、ここ数年はいろいろ試したり挑戦しようと思ってたんですけど、やっぱりまだまだでした。

 

「クレヨンしんちゃん。うーん、子供向けでしょ?」

 

クレヨンしんちゃんは確かに子供向けの作品ではあるけども、かといって大人が観るもんじゃないという固定観念を知らず知らずのうちにもってしまってた。はい、完全な食わず嫌いでしたね。もうダメっすよ。こんな風に思い込みでなんでも判断しちゃ。

 

僕自身つい、そうやって思い込んで狭い世界に閉じこもってしまう癖があるのでね、これじゃあいかんなと思いまして観てみることにしましたよ。クレヨンしんちゃんの映画を。今回観たのはシリーズの中でも評価が高い『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦後大合戦』って作品です。

 

※今回もネタバレアリです

 

この作品の感想を端的に言うと、「普通に感動したわ!!」っていうね。うん、全然大人が観ても楽しめる作品でした。

 

まずはどんなあらすじかをざっくり説明。

 

野原家(しんのすけの家族)はある夜全員同じ夢をみます。その夢に出てきたのはどこかの国のお姫様。姫はどこか悲しげな様子です。次の日の朝家族は何事もなかったようにいつもの日常に戻りますが、飼い犬のシロだけは何か様子が違うんです。

 

シロは庭をなぜか掘り返しており、幼稚園からしんのすけは母親のみさえからシロの飼い主なんだから穴を埋めておくように言われます。穴を埋めようとするしんのすけですが、シロはそれを阻止。するとその穴からは立派な箱に入った手紙が。手紙には「てんしょうにねんにいる」という父ひろしと母みさえにあてたしんのすけ自ら書いたと思われる手紙が出てきます。

 

しかし、しんのすけはその手紙を書いた覚えがなく戸惑います。しかし、手紙の続きに書かれていた「おひめさまはちょーびじん」という文を見て、夢に出てきたお姫様を思い出し、目を閉じるとなんと今まで自宅の庭にいたはずがお姫様がいた湖の畔に移動していたのです。

 

わけもわからず辺りをさまようしんのすけ。すると、侍たちが戦をしている場面に遭遇します。最初は何かの撮影だと思っていたしんのすけですが、たまたま声をかけた武士たちが春日家につかえる井尻又兵衛を狙う刺客だったんです。しんのすけのおふざけによって資格の存在に気付いた又兵衛は命を救われます。命を救われた又兵衛はしんのすけを春日城へと案内します。

 

一方そのころ野原家では、しんのすけがいなくなったことで大騒ぎ。庭に残されていたしんのすけが書いたと思われる手紙を発見した野原家は、手紙の内容からしんのすけがてんしょうにねん(天正2年)の戦国時代に行ってしまったと考え、車に生活物資などを詰め込みしんのすけが消えたと思われる穴の上に。はたしてしんのすけと野原家は再会し元の世界へと戻れるのでしょうか?

 

身分を超えた恋の行方は?

本作はクレヨンしんちゃんの映画版ですが、ここで描かれているのは決して子供に対して向けられているものではありません。むしろ、大人向け。それも悲恋について描いた物語です。

 

作中しんのすけに命を救われた又兵衛は「鬼の井尻」と恐れられるつわものながら、女にはめっぽう弱い侍。彼は城主の娘である廉姫の幼馴染ですが、実は彼女に恋心を抱いています。一方、廉姫も普段はそんなそぶりを見せはしないものの胸の奥では又兵衛に恋をしている。

 

でも、二人は言ってしまえば上司と部下の関係。しかも戦国時代のお姫様は政略結婚が当たり前で、基本的に他国の城主なりその子供たちなりに嫁ぐことで互いに協力関係を築き国の安泰を測るものです。個人よりも国のことが優先される。それを身にしみてわかっているから、又兵衛も廉姫も互いの想いを面には決して出さない。それは許されないことなんです。

 

この膠着した関係はどうも動きそうにもない。そこに表れたのがしんのすけをはじめとした野原一家です。しんのすけは又兵衛と一緒に過ごすうちに彼が廉姫に対して恋心を抱いていることに気づきます。でも、又兵衛は侍ですからね。どうしても自分の気持ちに正直になれないというか、身分や国を優先する価値観に縛られてしまう。

 

その一方で廉姫はしんのすけから「未来の人たちは互いに好きであれば結ばれていい」という自分たちとは全く違う恋愛観をきいて、少しずつ自分の気持ちを表に出していきます。とある場面では白から抜け出した姫を助けた又兵衛に姫が抱きついちゃったりしてね。で、又兵衛はその廉姫を受け止めはするものの抱きしめることができず「お戯れを!」なんて言って距離を取っちゃう。でも、その表情には笑みが浮かんでいたりしてね。このくっつきそうでくっつかない感じにやきもきさせられます。

 

 

で、肝心の「二人の恋は成就するのか?」って話です。観客からすると、わりと早い段階で両想いってことがわかっちゃってるので、やっぱりここが気になります。これが予定調和で行くと、なんやかんやで二人くっついてハッピーエンドで。わー良かったねってなると思うんです。だけど、先述したようにこの作品は身分の違いが生んだ悲恋について描いた物語なんです。

 

ここで予定調和で行かないのがすげぇ良かった。結論言っちゃうけど、やっぱり二人の恋っていうのは成就しないんです。どちらかというとバッドエンドに近い。ただ、本来はもっと悪い結末だったはずのものが、野原家の出現によっていくつかの場面で又兵衛と廉姫は互いに思いあっていたことを知ることができた。それは、野原家がこの時代に来なければ起こりえなかった奇跡です。だからバッドエンドではあるんだけど、悲壮感はない。悲しいし、涙も出るけど後味は悪くないんですよね。

 

ちなみに僕がこの二人の恋は成就しないんじゃないかと思ったのは、先述した廉姫が又兵衛に抱き着いた後の場面を見てです。ここで野原家(ひろし、みさえ、ひまわり、シロ)が車でこの時代にワープしてきます。彼らはしんのすけと一緒に元の時代に戻ろとするも、帰る方法がわかりません。なのでとりあえず春日城に向かうことになります。この時廉姫はしんのすけたちとともに車に乗り込むのですが、又兵衛は馬に乗って向かいます。

 

ここの場面で、野原家と廉姫が乗った車はグングンスピードを出して馬に乗った又兵衛を置き去りにしちゃうんですね。僕の勝手な解釈なんですけどこの車というのは現代の乗り物の象徴で、又兵衛が乗る馬っていうのは過去の乗り物の象徴ですよね。つまり、車に乗ってる廉姫はしんのすけから聞いた現代の恋愛観を受け入れつつある一方で、馬に乗る又兵衛は過去の恋愛観に乗っかったままであるという比喩なんじゃないかと。

 

そんでもって、この時二人の距離はグングン離れていって又兵衛が姫に追いついたっていう描写は一切ないんですよね。二人の距離は空いてしまったまま。なんかこの場面を見た時「もしかしたら二人はこのままなのかな」と思ってしまいました。うん、勝手な解釈であり想像でしかないんですけどね。

  

青空侍に込められた意味は?

又兵衛は空を眺めるのが好きで、青い布地に雲が描かれた旗印を持ってて「青空侍」と呼ばれていました。戦場では鬼なんて呼ばれている侍にしちゃあノー天気なあだ名ですよね。では、なぜ又兵衛は青空を眺めるのが好きだったのでしょうか?ここからは僕の勝手な想像なんですが、やっぱり又兵衛もどこかで武士とかそういった身分に関係のない自由な生き方みたいなものにあこがれていたんじゃないかと思うんですね。

 

青空に浮かぶ白い雲って、誰にも縛られずプカプカと浮かんでて気ままで自由なイメージがあるし、又兵衛は自分の願望を表現していたんじゃないかな。きっと廉姫とも自由に恋愛がしたかったのではないかなと。それを「自分は侍である」という自制心で抑えつけていた。いやぁ、そう考えるとやっぱりツライですよね。又兵衛の願望というのは時代が許さなかったわけで。でも、戦国という時代にはおそらく身分違いの実らない恋というのもたくさんあったんだろうと思うし、フィクションとはいえそこにしっかり向き合っている本作は、やっぱりいい作品だなと思いました。

 

まとめ

というわけで、今回は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』の感想を書いてみました!!

 

色々書きましたが又兵衛や廉姫の立場を見てきたものからすると、やっぱり現代に生まれて良かったと思いますね。

 

子供向けの作品だと思ってなめちゃいかん!!ばっちり大人でも楽しめるし泣ける作品となっていると思うので、ぜひご覧になってみてください!!