ちょっと前にジョジョの奇妙な冒険の作者である荒木飛呂彦先生が映画について語っていた本を紹介しました。
参考記事:『荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟』読了。荒木先生の映画論から学べることとは? - マンガなしでは生きてけない!!
今回読んだのは↑のやつよりも前に発売された一冊です。荒木先生がホラー映画についてめちゃめちゃ語ってくれています。
まず読んだ感想から言うと
「メチャメチャ面白かった!!」
というのも、僕自身ホラーというジャンルがとても好きなんですよね。映画だけじゃなくゲームや漫画などついついホラー系の作品に手が伸びてしまうんです。
そんなホラーをさらに僕が好きな漫画のひとつである『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木先生が語りつくすわけですから、僕にとって面白くないわけがありません。
特にこの本の中でおもしろかったのは荒木先生がゾンビについて語る章です。
僕もゾンビものはとても好きなんですよね。映画でいえばジョージ・ロメロの『ゾンビ』は何度も見たくなる作品だし、ゲームでいえばバイオハザードが大好き。
ゾンビのノロノロと歩いてくる様も、一体じゃあんまり怖くないけど、集団できたらメッチャヤバい感じも、何とも言えないうめき声をあげながら近づいてくる感じもすんごくいいんですよね。
現実に向かいあったら絶対に嫌なんだけど、作品の中だとその不気味さとかグロテスクさに妙に惹かれてしまう。あとは、服装とか髪型から「このゾンビは生きてた時はこんな人生送ってたのかな?」なんてことを想像してしまう。それが妙に楽しかったりします。
そんで荒木先生もゾンビがとてもお好きで、この本の第一章は丸々ゾンビ映画について語っているわけです。
荒木先生はご自身の視点でゾンビの魅力についてあれこれ語っているわけですが、僕が「なるほど!!」と思ったのが「ゾンビは無個性であるから画期的である」ということ。
ほらっ、通常のホラー映画って殺人鬼にせよ、エイリアンの様なモンスターにせよ超個性的じゃないですか?『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスなんて人の皮を顔にかぶってチェンソー持ちながら追いかけまわしてくる個性の固まり以外の何物でもないし、『13日の金曜日』ジェイソンもアイスホッケーのマスクをつけた巨体の男という個性の固まりなわけですよ。
つまり個性的なキャラクターを軸にストーリーが展開されているというわけです。
ところがゾンビ映画はどうでしょうか?たとえゾンビになる前にどれだけ大スターであろうが、どれだけ個性的な人間であろうがゾンビになってしまえば、その他のゾンビと一緒。
単に人の肉を求めウロウロとさまようだけの無個性な存在へとなってしまうわけですよ。「個性的なゾンビ」っていないでしょ?
だけどそんな無個性な存在でありながら見ているモノに恐怖とか嫌悪感を与えられる存在であるゾンビっていうのはスゴイよねというのが荒木先生の考えです。
本書ではこういう先生ならではの視点を色々なホラー映画を題材にしながら見ることができるので、「そうそう、この映画ってそこが魅力なんだよな。」と自分と近い意見に喜んだり、「へぇ、荒木先生はこの作品に対してこういう視点で見ているんだ。」と新たな気づきを得られるのでそれが面白いわけです。
あとは、ホラー映画を普段見ない人であれば「ホラー映画の入門書」として見て見るのも楽しいかもしれない。
ホラー映画苦手な人って「怖い映画とか、グロテスクな映画は嫌だ。」という感じで反射的に拒否してしまっているケースが多いじゃないですか?
でも違うんだよと。ホラー映画っていうのは単に恐怖をあおったり、人がバッタバッタ死んでいくだけの作品じゃないんだよということを荒木先生は教えてくれるわけです。たぶん、この本読んだらこれまでホラー映画とかあんま見なかった人でも一作ぐらい「これを見て見たい」と思える作品に出会えるんじゃないかな?
それぐらい荒木先生はホラーに対して様々な角度から作品の見方やその面白さを伝えてくれています。
それにしてもこの本を読むと「荒木先生は本当にホラーが好きなんだな」というのがよくわかりますね。そして、そのホラー好きの部分が作品にもよく反映されている。先生の代表作『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部は吸血鬼とかゾンビが出てくるし、第四部のラスボスは「街に溶け込んだ殺人鬼」というまさにホラー映画に出てきそうなキャラクターになってますからね。もしかしたら「楽しい♪」なんて思いながらぐちょぐちょのゾンビを描いているのかもしれません(笑)
なのでジョジョファンの人は本書を読むことで「もしかしたらあのシーンはこの映画から影響されたのかな?」なんてことも想像できてそれはそれで楽しいです。
そんなわけで本書はホラー映画好きも、ホラー映画はちょっと苦手という方も、ジョジョファンといった具合に色々な人が楽しめる一冊になっているんじゃないかなと思います♪
特に僕はホラーが苦手な人にこの本を読んでもらいたい。ホラー映画を食わず嫌いしちゃってる人は本書を読むことでホラーの魅力に気づけるはずです(^^)
それでは今回はこの辺で失礼します!