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『酔うと化け物になる父がつらい』理性をなくした酔っぱらいの恐ろしさや、その家族の苦悩がよく伝わる作品でした。

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ひさびさに読んでいて、「すげぇわかるわぁ」というマンガに出会った気がします。

 

本作は著者の菊池さんの実体験に基づくもので、家族が「酔うと化け物になる」父親に翻弄され崩壊していく様子を描いています。

酒は人をぶっ壊し、家族をぶっ壊すこともある!!

まず、この作品を読んでいて思ったのは「うわぁ、辛いな‥‥‥」ってことでした。というのも、著者の父親ほどの変貌ぶりではないにせよ、かつてうちの父親も酔っぱらって家族に暴言を吐いたりしてた時期があったんですよね。さすがに著者ほど壮絶な経験はしていないけど、それでも「わかるわぁ」っていうところはけっこうありました。なので、本作を読んでると当時のことを思い出してしまって、ちょっとしんどくなってしまったというわけです。

 

ただ、著者の経験はそんな僕から見てもあまりに強烈すぎてね「これのちのちのトラウマになるんじゃね?」って読みながら心配になってしまったほどです。っていうか実際トラウマになりかけてます。例えばこの場面。

 

私の未来に子供はいない 自分が歪んでることはわかってる

だけど子供とかママとか聞くと鳥肌が立つ どうしてこんなふうになったのか

引用元:『酔うと化け物になる父がつらい』p34 著者 菊池真理子 秋田書店

 

これは、著者がバイト先の友達と母親になりたいかどうかの会話をしていた時に著者が思ったことです。周りの若い女性たちは、「若いママになりたい」とはっきり公言している人たちばかりだったんです。ところが著者はそうは思えない。でも、その理由が著者にもよくわかりません。

 

ですが、その理由は帰宅した際にわかります。いつものように酔っぱらっている父親の介抱をした時のこと。父親は熱したストーブに頭を押し付けてそのまんま寝ていたので、著者はつい「ちょっとはマトモになってよ!」と声を荒げてしまいます。長年続く父親の酔っぱらいぶりから、ついそうした言葉を投げかけてしまうのも無理はありませんよね。

 

ところが父親は感謝をするどころか、いきなり著者の顔面を殴るんです。

 

就職もせずフラフラして マトモじゃないのはどっちだ

引用元:『酔うと化け物になる父がつらい』p36

 

「いやぁ、マトモじゃないのはお前だよ!」と読者側からはそうツッコミを入れたくなりますが、おそらく父親にも不満はあったのでしょう。著者は高校を卒業後バイトを転々とし生活も不規則になっていたし、時には帰りが父親よりも遅くになることがあったからです。一緒に住んでる親としては心配する気持ちもあるだろうし、「ちょっとどうなんだ?」と思うこともありますよね。そこは父親の気持ちがわからんでもない。

 

でも、この父親がずるいなーと思うのは、こういうことを酔っぱらった時にしか言わないわけですよ。要は理性がない、次の日に自分が何をしたか、何を言ったかも覚えていない時にだけ自分の思ったことを言う。そして、次の日は「俺なんか言ったっけ?」とまるで何事もなかったかのように家族の前に姿を現すわけです。そして大抵の場合その時のことを忘れていたりするので、ちゃんと謝らなかったりとかね。

 

この辺は自分の父親と重なる部分があるんですよね。次の日自分が何をしたのかよく覚えてないし、たちが悪いのはある程度覚えていても家族にちゃんと謝りもしない。おそらく酒飲んでてあんまり自分がひどいことをしたっていう自覚がないのでしょう。「ここが酔っぱらいのほんっとに嫌なところだよな!!」とマンガを読みながら共感&怒りがふつふつと湧いてきてしまったほどです。いやぁ、ほんと腹立つんですよ。「アンタ何したのか覚えてねぇのかよ!!」って何度思ったことか。ほんと誰かを傷つけてしまう飲み方はよくありませんね。

 

で、こんな父親を長年見てきた著者は、「なぜ自分がママになりたくないのか」がはっきりとわかったわけです。

 

ああそっか 私の遺伝子 父の遺伝子 こんなの残したくないからー・・・

引用元:『酔うと化け物になる父がつらい』p36

 

酔っぱらった父親、そしてそんな父親の遺伝子を継ぐ自分、そして子供が生まれればそんな父親の遺伝子が残ってしまうんじゃないかという恐怖ですよね。トラウマになっちゃってる。家族というものに対してポジティブな面とか希望みたいなものが見えなくなってしまってるわけです。

 

この辺の著者の言葉にはなんか悲しくなっちゃいましたもん。ほんと酒は人間の生活をぶっ壊すなと。もちろん酒飲んでる本人もアル中になったり、それに付随して病気になったりして人生壊すけど、そんな酔っぱらいに巻き込まれる周りの人間の人生も蝕まれることがある。この父親は娘に「家族を持ちたくない」と思わせちゃってるわけですからね。改めて酒の怖さや負の側面ってやつを、この作品は思い出させてくれました。

 

僕もお酒を飲むのは好きなので、ほんとに気をつけねばと改めて思います。

 

まとめ 

というわけで、今回は『酔うと化け物になる父がつらい』という作品の感想を書いてみました。

 

今回はさわりだけの紹介ですが、酔っぱらいの父親の言動は著者の人生に後々まで長く影を落とすことになります。

 

僕も酒は好きだし、時には人に迷惑をかけてしまうこともあるので偉そうなことは言えません。それでも、もしあなたが「酒で家族や周りの人間を傷つけてしまっているかも‥‥‥」という自覚が少しでもあるならぜひ読んでみてほしい。家族をこんなに傷つけていたのかと気づくきっかけになるでしょう。

 

また、 著者と同じように「親から悪影響を受けた人」も読んでみるといいかもしれませんね。読むと辛い部分が多いですが、同時に自分の中に抱え込んでいた辛さやモヤモヤした気持ちが「ああ、他にも同じような人がいたんだな」という気付きと共に、少し楽になったりするのかなーなんて思います。

 

少なくとも僕は読んで良かったなと思う作品なので、興味がある方はぜひご覧になってみてくださいね!