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『呪怨』幽霊出まくり!?Jホラーの常識を覆した作品!

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ホラー映画好きとしては『リング』と『呪怨』は外せないということで、『リング』についてはこのブログで紹介したので、今回は『呪怨』を紹介したいなと思って、ネットフリックスにあったので久々に観てみました。

 

率直な感想を言うと、やっぱり恐いなという感じなんだけど、じゃあ、この呪怨という作品のどんなところが恐くて、従来のホラーとどう違うのかなんてところを書籍なんかを参考にお伝えしていきたいと思います。

 

概要、あらすじ

『呪怨』は2003年に公開。監督、脚本は清水崇。介護のボランティアで呪いの家を訪れる女子大生の仁科理佳役に奥菜恵。兄夫婦が住む呪いの家に関わったことで、自分も恐ろしい目にあってしまう徳永仁美役に伊東美咲。呪いの家に住む徳永勝也役に津田寛治。遊び半分で呪いの家を訪れてしまった女子高生遠山いづみ役を上原美佐が演じています。

 

ここからはあらすじです。

 

介護のボランティアをしている仁科理佳は、施設の職員から頼まれ徳永家を訪れた。徳永家は夫婦と夫の母親の3人暮らしだが、夫婦の姿はどこにもなく家の中はゴミが雑然と散らばり、ほぼ寝たきりで意思の疎通が取れない年老いた母親がいるだけだった。理佳は老婆の世話をしているうちに家の中にある奇妙な気配に気づく。次々に起こる怪奇現象。だが、これはまだその後に続く恐怖への始まりに過ぎなかった。

 

※ここからはネタバレありなのでよろしくお願いします。

 

感想

従来のホラーの常識を覆す、しょっちゅう出てくる幽霊の存在

呪怨に登場する主な幽霊は佐伯伽椰子と俊雄の親子です。彼らは従来の幽霊たちと一線を画す存在で、しょっちゅう画面に姿を現します。

 

これが日本を代表するホラー映画『リング』に登場する貞子の場合、呪いのビデオを見てから7日後にその相手を呪い殺しに来るまで直接姿を見せることはないんですよね。その辺はルールを守るある意味律義な幽霊と言えるのかもしれない。一方、『呪怨』の伽椰子や俊雄の場合、彼らのテリトリーである呪いの家に足を踏み入れた時から、その人は呪いの対象となり、幾度となく目の前に姿を現し唐突に命を奪っていくわけです。

 

従来の幽霊は頻繁に姿を見せないし、大事な場面で姿を現すから「いつ出てくるのだろうか」という恐さがあったわけですよね。それを本作ではまるで逆のことをやっていて、下手するとしょっちゅう幽霊が出てくる状況に恐さを感じなくなってしまう可能性もあります。もちろん、そこは清水監督もわかっていて、『Jホラー、怖さの秘密 』(メディアックスMOOK別冊カルトムービー)にはこんな風に書かれています。

 

清水自身も、「Jホラーの見せない怖さは好きなのだが、あとから出てきたのだから、先輩たちがしてないことをやりたかった。そのため小中千昭さんの著書『ホラー映画の魅力ファンダメンタル・ホラー宣言(2003年、岩波書店)』をスタッフに読んでもらい、この逆をいくように指示したりもした」と述べている。また、幽霊が全面的に出るとコメディ色が強くなりかねないが、それに関しても、「笑われるほどに幽霊を出しまくるのが『呪怨』のコンセプトである」と語っている。

引用元:『Jホラー、怖さの秘密 』p077 メディアックスMOOK別冊カルトムービー

 

まぁ、ぶっちゃけ途中のとある親子が幽霊になってしまった場面で僕はちょっと笑ってしまったのですが、それ以外はおおむね幽霊が頻繁に出てきても「恐いな・・・」と感じることが多かったです。なのでこの頻繁に幽霊を出すというアイディアは成功だったのではないかと思います。

 

圧倒的な敵意に恐怖を覚える

あと、この映画で恐さを感じたのは、「呪いの家に入っただけで相手を呪い殺す」という伽椰子の圧倒的な敵意に対してです。確かに伽椰子が幽霊になった経緯っていうのは同情に値すべき部分はあります。実の夫に浮気をしているのではないかと勘違いされて惨殺されるわけですから、この世に深い恨みを残して死ぬのもわからなくはない。

 

でも、だからといって自分が死んだ家に入った人間を問答無用で殺していくって恐ろしくないですか!?生前に自分を助けてくれなかったとか、自分の声に耳を傾けてくれなかった人間を呪い殺すとかならまだわかります。伽椰子の場合そうじゃない。たまたまちょっと家に寄っただけの人間も容赦なく殺していくんです。老若男女有問わず、しかも時間も場所も選ばずに現れる。時には相手の家や職場にまで姿を現します。伽椰子の家に関わったものは必ず殺すという底なしの怨みと圧倒的な敵意には観ている側も恐怖を覚えざるを得ません。

 

音で想像力を刺激し、恐怖を喚起する

この映画で恐いなと思ったのは、音の使い方です。閉じられた押し入れの中から「ガサッ」と音がする。天井裏から聞こえる何かが這う音と「ドスン」と地面に落下する音。自然と「そこには何がいるのだろう」と想像力を掻き立てられます。もちろん、その想像によって恐怖が喚起させられるわけです。

 

そして、本作で最も印象的なのが伽椰子が発する「ア・ア・ア・・・」という声でしょう。この声は呪いの家に関わったものが電話をしたりすると、突然電話口から聞こえてきたりして、最初は「なんだろう?」と思うわけです。それが後に伽椰子が発する声だとわかるのですが、この独特の声がすごく不気味さを醸し出すんですね。で、この音どうやって出してるんだろうって話ですが、前掲の『Jホラー、怖さの秘密』によると、これは清水監督自身が発泡スチロールを使いながら自分で出した音とのこと。すげぇ、アナログなやり方なんだけど、それが映画をより怖くさせているので、低予算でもやり方次第で作品をさらによくできるんだなぁと思いました。

 

まとめ

今回はJホラーを代表する作品の一つ『呪怨』について紹介してみました。今回したように従来のホラーとは一線を画す作品ですが、その恐さは折り紙付き。恐いもの好きな人や、ホラー好きな人、たまにはゾッとする体験をしたい人なんかにはおススメの作品なのでぜひご覧になってみてください!!