手塚先生の仕事現場を描いた『ブラック・ジャック創作秘話』
毎話必ずと言っていいほど「この人すげぇ‥‥‥。」って思わせるエピソードが満開で、天才漫画家の情熱と仕事への意欲に触れられることができるとても面白い作品です。
全5巻のこのマンガ。僕は2巻まで読んだんだけど「こりゃ、次も読みたいな!!」ってことで第3巻も買ってしまいました♪買ってすぐ読んだんだけどあっという間に読んじゃいましたね。
というわけで今回はブラック・ジャック創作秘話の第3巻から印象的だったエピソードや感想を書いていきたいと思います♪
手塚治虫、涙を流す‥‥‥
この巻で僕が最も印象に残っている話があります。それは、手塚先生がMW(ムウ)という作品を連載していた時の事。
先生は相変わらず多数の連載をかかえていて、各出版社の担当が多数出入りしていたんです。その中の一人が先生の許可が出ていない原稿を勝手に持って帰ってしまったそうなんですね。
というのも、まぁ先生のエピソードでよく出てくる話ではあるんだけど、締め切りまで時間がなくてどーしても落とせないと。今持っていかないと間に合わないということだったそうです。
一応その原稿は締め切りには間に合ったみたいなんだけど、なんとまだ背景が入ってないコマがあったんだそうです。でも作品はそのまま出版されてしまいました。
その後アシスタントの人たちは実際に出版されたものを見たんだけど、案の定あるコマの背景が真っ白。明らかに違和感があるんですね。
あぁ〜本当に載せちゃったよぉ
真っ白じゃん ひでぇなこりゃ・・・!!
こんなのよく載せたなぁ・・・
引用元:ブラック・ジャック創作(秘)話~手塚治虫の仕事場から~ 3 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)p34~35
アシスタント同士でそんな会話をしていると、いつの間にか後ろには手塚先生が立っていたんです。先生がいることに気づいた二人は、押し黙ってしまい「すいません」と謝ることしかできませんでした。しかし、その時の先生の言葉は思いもがけないものだったのです。
あ~あ 印刷しちゃったんですか
真っ白ですねえ〰
あれ?先生怒ってないのか?そう思ってほっと一安心しアシスタントの方が後ろを振り返るとそこにいたのは‥‥‥
「涙を流す手塚先生」
自分が出した作品が未完成のまま出版されてしまったことに対する悔しさがにじんだんでしょうね。マンガの描写なのでどこまで本当なのかわかりませんが、先生はだーっと涙を流して立ってるんです。
それほどマンガに対して真剣でそして情熱を注いでいたってことなんだろうなぁ‥‥‥。人によっては「いい大人がそこで泣くかよ‥‥‥。」と思うかもしれないんだけど、僕はガチでマンガに取り組んでる先生を見て改めてその凄さを感じましたね。自分にはまったくないものなので(笑)
ただちょっとだけ突っ込むとしたら「締め切りが間に合うように連載の数を調整すればいいのに‥‥‥。」とは思いました。
手塚先生からしたら未完成の原稿を載せられるのは悔しいだろうし、もしかしたら許しがたいことなのかもしれない。でも出版をする側からしたら「ここで締めきり破って原稿を落とすわけにはいかない。」っていう気持ちもあるわけですよ。だから未完成でもいいってことで持って帰ってしまったわけで。
そのあたりマネージャーの人とかももっとうまくコントロールできなかったんだろうか?冷静に考えるとちょっと担当の人も気の毒だよなぁとは思いましたね(^^;僕が担当でもおんなじことしてたかもしれないなぁなんて思いましたね(^^;
まとめ
今回は『ブラック・ジャック創作秘話』の第3巻から、僕がとくに印象にに残っているエピソードとその感想を書いてみました。
他にも手塚先生の驚きのエピソードと、周りの関係者たちの奮闘っぷり、また手塚先生とアニメとの出会いの話など、今回もなかなか濃い一冊となっております。今回も満足でした♪
それにしても相変わらず手塚治虫の仕事現場は熱い!!熱すぎるゼ!!
ということでぜひあなたもこのマンガを通じて手塚治虫先生の仕事現場に足を踏み入れてみてください。きっとその仕事にかける情熱から何かを感じるはずです。
それではまた!!