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『三十歳バツイチ無職、酒場はじめます。』料理がうまければ人は来るのか?

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今回は『三十歳バツイチ無職、酒場はじめます。』より、興味深い学びになるエピソードがあったのでご紹介します。

 

 『三十歳バツイチ無職、酒場はじめます。』を読んだことがない方はこちらを参考に。

 

※ネタバレアリなのでよろしお願いします。

 

グルメイベントに参加する主人公

今回紹介するのは主人公がグルメイベントに参加したときの話です。

 

主人公の信吾はカフェの店主からグルメイベントに誘われてお店を出店しました。料理の評判もよく店は繁盛していたんですね。ところが近くで何やら怒鳴り声が聞こえてきます。どうやら和食店の店主である黒金源三という人が、自分に無断でこのイベントに出店した息子の隆司を咎めている様子。

 

ただ隆司がイベントに出店したのにはきちんと理由があったんです。それは最近店にくるお客さんが減って店の調子があまりよくないので、こうしたイベントに出店することで、実際に料理を食べてもらって店の知名度アップやお店に来ることを考えていたんですね。

 

ところが源三はご立腹で隆司に対してこう言い放ちます。

 

料理人は宣伝マンでも営業マンでもねぇ 職人だ!!
口じゃなくて手を動かしてコツコツうまいもんを作り続けてたら必ず客入りは上向いてくる!!

『三十歳バツイチ無職、酒場はじめます。』第1巻 p123  著者トリバタケ ハルノブ/久部 緑郎 集英社

 

昔ながらの職人である源三は「うまい料理を作れば人は来る」という考えを譲りません。息子の隆司は安くておいしいものを楽しむイベントの趣旨に合わせてメバチマグロ雄を用意していたのですが、自分が本物の料理を見せてやると、店から自慢のホンマグロを調達してきます。しかも、近くで豚おでんを売っている信吾のことを「ゲテモノ料理を売っている」と馬鹿にする始末です。

 

信吾は源三への対抗心もあって、あるアイディア料理を生み出します。これがお客への評判もよく見事に完売。これで一矢報いたと思い源三が出している店に目を向けると、何とお客が一人もいません。源三はなぜ自分の店に客がこないかもわからず、みんな本物の味がわかってないからだと自分に言い聞かせるようにして、イベントへの出店をやめて帰ろうと考えます。

 

ところが、その時源三の店に急にたくさんのお客さんが訪れます。ビックリする源三ですが料理を提供するとお客からの評判もすこぶるよく店は繁盛します。では、なぜいきなり源三の店にお客が来るようになったのでしょうか?それは、イベントの店主若槻がした宣伝がきっかけだったんです。


どんなに素晴らしい創作物でも、宣伝をしなければ知られることはない

店主の若槻が宣伝したのは、源三が和食の名店で修業した料理人であること、マグロが那智勝浦直送のホンマグロであること、本焼きの土佐包丁を使っていることでした。なぜ、これだけでお客が来るのか?それは「お客が来たくなるような宣伝がされていたから」です。

 

若槻が宣伝するまで、源三の店には「本鮪のお造り 六〇〇円」という張り紙が貼られているだけでした。このイベントは安くておいしい料理を出すお店が中心のイベントで、六〇〇円という値段はイベントの中では一番高い部類に入ります。もちろん、高いのが悪いというわけではありません。問題なのは「なぜ高いのかその理由がわからないから」なんですね。高いなら高いなりの理由がなければならないし、その理由が説明されていなければお客さんは来てくれません。特に安さがウリのイベントでは高いというだけで敬遠されてしまいがちです。

 

源三は「多少高くてもうまいもん出せば人は来るだろう」とその説明を怠っていました。ところが、若槻の宣伝によって源三が名店で修業した職人であり、使っている道具にもこだわりがあり、提供されているマグロも最高級のホンマグロであることをお客さんは知ることになります。

 

「本鮪のお造り 六〇〇円」と「京都の名店で修業した職人が、こだわりの土佐包丁を使って造る那智勝浦直送の本鮪のお造り 六〇〇円」という文章を見た時にどちらが食べたくなるかは一目瞭然ですね。六〇〇円とイベントにおいて一番高い値段設定もこれならお客さんは納得できるわけです。

 

源三は宣伝に対して否定的でしたが、実際にその効果を目の当たりにして、これからは宣伝にも力を入れていく必要があることに気づきメデタシメデタシとなりました。(実際はこうすんなりとはいかないとは思うけど)

 

このエピソードから学べることは単純で「いくら素晴らしいものを作ったとしても、宣伝をしなければ知ってもらえない」ということですね。特に「いいものを作っていれば問題ない」という職人タイプの人ですと、源三と同じように宣伝や営業を否定してしまいがちです。

 

ところが時代は変わって今は情報があふれかえっている時代です。そんな時代において宣伝や発信をしないということは、莫大な情報に埋もれていくのをただただ黙って観ているのと一緒です。それでは人の目につくことはまずないでしょう。いくらいいものをつくっていたとしてもね。

 

もちろん品質の高いものを提供することを突き詰めるのも大事ですよね。アップルのカリスマ経営者だったスティーブ・ジョブズは「どんなマーケティングでも駄作をヒットさせることはできない」(『スティーブ・ジョブズ Ⅱ』講談社 著者 ウォルター・アイザックソン)と言いましたが、いくらマーケティングや宣伝上手でもその商品やサービス自体の質が悪ければ、結局のところ長く利用してもらうことはできません。なので、質は追求しつつ宣伝や営業も頑張る必要があるというわけです。

 

いいものをつくっても、伝える努力をしなければ誰にも伝わらないし知られることはない。

 

当たり前と言えば当たり前のことではあるんだけど、改めて伝えることの大切さに気付かされるエピソードでした。これを機に自分ももうちょい「人に伝えること」を頑張りたいなぁと思いました。もちろん、質を上げることも忘れずにね。

 

まとめ

今回は『三十歳バツイチ無職、酒場はじめます。』のお話から学びになるエピソードと僕なりの考えをお伝えしてみました。

 

この作品全2巻ですが、個人で飲食店をやろうという人やこれから何か始めたい人にとって参考になる話がたくさん詰まっているので興味がある方は是非ご覧になって観てください!!