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『あれよ星屑』戦後の混乱期を生きる人々の現実がそこにある

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今回紹介するのは戦後、アメリカに負けて荒廃した日本で生きる人々の人生を描いた『あれよ星屑』という漫画です。

 

僕はこの漫画の何が好きかというと、多くの資料を参考に、戦中や戦後の混乱期をリアルに描いているところです。

描かれる戦中、戦後のリアル

物語は元兵隊で戦後は闇市で雑炊屋を営む川島という男と、彼の周りに集まる元部下や戦後に知り合った人々を軸に展開されていきます。

 

川島の周りには様々な事情を抱えた人たちがいます。闇市でずるがしく商売をする人々。日本に在留するアメリカ兵たち。アメリカ兵に体を売りどうにか日々の糧を得る日本人女性たち。食うためにヤクザとして生きる男たちなど。

 

あるものは戦争の傷を引きずり、ある者は戦前、戦後でガラッと変わってしまった時代に居場所を見出せない。肉親を亡くし行く場所をなくし、弱い者たちで寄り添いながらどうにか食い繋ぐ日々を送る子供達。時に強かに、時に汚く、時に切ない彼らの生き様が切り取られていきます。

 

本作に出てくる人たち一人一人の存在に嘘臭さがありません。「あぁ、きっとこういう人たちがあの時代にはいたんだろうなぁ」とスッと受け入れられる。それは、筆者が数多の参考資料からあの時代にまつわるものを、丁寧に拾い集め作品に反映させたからだと思います。

 

そして、本作は戦後だけでなく戦争のリアルも描いています。川島が戦争に行っていた頃の話が戦中編として描かれていて、兵隊達の性事情、慰安婦として出てくる女性達と兵隊たちの関係、他国の民間人の扱い、あっけなく死んでいく人々など、その描写は非常に生々しく、時にゾッとするような部分を目にすることがあります。

 

でも、僕はそうした部分にこそこの作品を読む価値があると思います。単に戦争やあの時代の人たちを美化するでもなく、かといって戦争に参戦した人々や兵隊たちを単に犠牲者として描くでもない。加害性も被害性も兼ね備えた戦争の描写は、不快で残酷でもありますが、そうした目を背けたくなるようなリアルを描く本作は、真摯にあの時代と向き合っていると感じます。

 

そんな戦争や戦後の人々のリアルな生活を描く『あれよ星屑』は、僕の中でドスンと心に残る作品の一つとなりました。これから何回も読みたくなる作品ですし、人におすすめしたい作品なので、戦中、戦後を生きた人々の人生に触れてみたい方はぜひ一度ご覧になってみてください。

 

他に戦争を描いていて僕がオススメする作品

 

 

 

※昭和史は水木先生が生まれた大正から昭和の終わりまでを描いている作品です。先生自身、太平洋戦争に参加した時のエピソードや戦後、色々なことをやりながら生き延びた話は興味深いので未読の方はぜひご覧になってみてください。