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『ドラえもん物語 〜藤子・F・不二雄先生の背中〜』元アシスタントが描く藤子・F・不二雄先生の姿とは?

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漫画家を描く漫画。これってけっこう当たりの作品が多いんですよね。というのも、漫画家さんって中には結構変わった生活や考え方をしている人がいて、その様子というのがけっこう笑えたりするわけです。その代表格が手塚治虫先生の仕事場での様子を描いた『ブラックジャック創作秘話』という作品だと思います。

 

参考記事:天才の仕事現場に驚き!!『ブラック・ジャック創作秘話』がおもしろい!! - エンタメなしでは生きてけない!!

 

作品の感想はぜひ↑から読んでほしいのですが、この作品がとにかくぶっ飛んでたんですよね。「漫画家ってメチャメチャ面白れぇ!!」っていうの気づかせてくれる作品でした。そこから漫画家を描く漫画っていうのをけっこう読むようになったわけです。で、今回紹介するのも、そんな漫画家さんの仕事場での様子を描いたものです。それがこちら。

 

筆者はむぎわらしんたろうさん。むぎわらさんは藤子・F・不二雄先生(以下「藤子先生」)がコンビを解消し独立してからすぐにアシスタントとして入り、先生が亡くなるまで共にお仕事をされていたそうです。本作はそのむぎわらさん目線で描く、藤子先生との日々を振り返ったものになっています。

 

今回はこの作品を読んだ感想を書いていきます。

 

とにかく優しく親身になってくれる藤子先生

むぎわらさんは元々ドラえもんの大ファンで、藤子先生にあこがれて漫画家を目指した方です。当然先生に対してはプラスのイメージを持っていると考えていいでしょう。ただ、それを抜きにして考えたとしても「藤子先生めちゃめちゃ優しいな!」というエピソードが随所に出てきます。

 

例えばこの場面。

 

漫画家のアシスタントの場合、人にもよりますが大抵自分の作品も描きつつ誰かのアシスタントとして入るという方が多いです。むぎわらさんも藤子先生の下で働きながら自分の作品を描いていました。

 

ところが賞を受賞してからなかなか次のネームが通りません。その話を聴いた藤本先生はむぎわらさんにこう伝えます。

 

ここにいて 空いた時間は、

自分の作品を つくっていて かまいません。

どんどん描いていください!

よければネームでもなんでもいいから持ってきなさい。

いつでも見てあげますよ。

引用元:『ドラえもん物語 〜藤子・F・不二雄先生の背中〜』p37~38 著者 むぎわらしんたろう 小学館 (2017年)

 

空いてる時間に自分の作品をつくるのを許可するのはまだわかる。でも、先生自ら作品を見てくれるなんて!!これ、メチャメチャありがたいことですよね。大ファンであり憧れであり、師匠である藤子先生が自分の作品をじかに見てアドバイスをしてくれる‥‥‥。これ、僕でもテンション上がりますもん。きっと、むぎわらさんの感動は想像以上のものだったんだろうなぁと思います。

 

さらにこの話には後日談もあるんです。むぎわらさんが以前先生に渡していた原稿用紙が返ってきたんです。なんとそこには先生からのアドバイスがこれでもかというぐらいにびっしりと書き込まれていました。パッと読んでパッと書いたんじゃないですよ。あきらかにじっくりと読みこんでいたことが伺えます。さらに、作品だけじゃなくてこれから漫画家としてやっていくためのテーマの選び方から技術についてまで、正直「えー、ここまでしてくれるの!?」っていうレベルで教えてくれているわけです。

 

この優しさには正直驚きました。もちろん他にもアシスタントにアドバイスをしてくれる先生はいると思いますが、このレベルでガッツリ一人のアシスタントに向き合ってくれる漫画家さんってはそうそういなんじゃないかな?

 

先生の中ではおそらく、「自分と関わってくれている人にもできるだけのことをしてあげたい」という思いがあったのでしょう。体調があまり良くないということもあったのかもしれないし、ご自身なりに漫画界の発展に貢献したいという思いがあったのかもしれません。亡くなってしまった今となってはその意図はわかりませんが、とにもかくにも藤子先生の優しさ、親身になって考えてくれる懐の深さは少しでも見習いたいなぁと思いました。簡単には真似できないとも思うけど・・・。

 

好奇心旺盛で、勉強熱心な姿が素晴らしい!!

漫画家さんは好奇心旺盛で勉強熱心だなぁと常々思います。藤子先生も例外ではなく、とても勉強熱心な方でした。

 

藤子プロの本棚には、むぎわらさんが驚くほど大量の本がびっしりと埋め尽くされているし、先生は頻繁に映画を観たり劇を鑑賞したりして視野を広げていたそうです。

 

漫画を描くなら自分の好きな世界だけでなく・・・、

たくさんの世界を見て刺激を受けなさい!!

引用元:『ドラえもん物語 〜藤子・F・不二雄先生の背中〜』p55

 

これは藤子先生がむぎわらさんに伝えたアドバイスです。こうやって漫画以外にも様々なジャンルや世界に興味を持って、取り入れられるものはどん欲に吸収しようという姿勢があったからこそ、数々の名作を生みだすことができたのだろうと思います。

 

それにしても偉大な漫画家さんというのはみんな勉強熱心なんですよね。手塚先生も映画が好きだったし、仕事場にも資料がやまほどあったし、僕の大好きな水木しげる先生の仕事場にも大量の本がありました。しかも、みなさん連載でとてつもなく忙しい中でも、自分の作品をよりよくしたり、新たな作品を生み出すために貪欲に勉強をしているわけですよね。

 

あれだけ優れた功績を残している人たちのそういう姿を見ているとね、「ああ、自分ももっと勉強しなきゃな。頑張んなきゃな」という気持ちになりますし、そういうプロの貪欲な姿勢を間近で見ていたむぎわらさんは、より多くの刺激を貰ったのだろうなと思います。

 

まとめ

今回は『ドラえもん物語 〜藤子・F・不二雄先生の背中〜』を読んだ感想を書いてみました。本作のラスト、藤子先生が亡くなる直前のエピソードは先生のすごさ、漫画に対する真剣さを感じさせてくれるものです。さすがにここはいっちゃいけない気もするので、気になる方はぜひ本作をご覧になってみてください。

 

あとやっぱり印象的だったのは先生の人柄ですかね。藤子先生の優しさ、人に対する親身な姿勢、勉強熱心なところなどは、漫画家を目指す人でなくても見習うべきところが多く参考になります。

 

個人的には、一冊だと少し短くも感じたのでもう数冊ぐらいは先生とむぎわらさんのエピソードを読みたいなぁと思いました。もし、興味がある方がいたらぜひ一度ご覧になってみてください。