手塚治虫先生の代表作の一つであるブラックジャックは僕の好きな作品の一つで、何度も読み返したくなる名作だと思っています。
僕はつい先日もブラックジャックを読み返していたんですが、あるお話の中でブラックジャックが間接的に「医者や看護師が存在する意義」について語っていたんです。そしてそれがすごくしっくりくるというか、自分の中で確かにと納得させられるものだったんですね。
「ブラックジャックいいこと言うなぁ。こりゃ読者の人とも共有したいな。」ということで今回はブラックジャックが語っていた「医者や看護師が存在する意義」について皆さんと一緒に共有していきたいと思います。
※ネタバレ注意です。
医者や看護師は星を動かすようなもの
ブラックジャックが医者が医者や看護師の存在意義について語っていたのは15巻、第135話の『ある老婆の思い出』という話です。
タイトル通りこの回はある老婆が過去を振り返る形で話が進んでいきます。
老婆の名前はメアリ。彼女は50年前ある病院の看護師でした。彼女は患者さんの身になってよりそういい看護師さんなのですが、相手への思い入れが強くなりすぎてしまう傾向にありました。そのためなかなか患者として割り切ることができずまるで友人のような関係になってしまうわけです。そのため自分の担当していた患者さんが亡くなると、その度に激しく落ち込んでしまうのでした。
「自分は看護師に向いてないんだろうか?」
メアリがそんな悩みを抱えていた時に道端で倒れている妊婦に遭遇します。もしかしたら命も危ないかもしれない、そんな状況でしたが、その時にたまたま車で道を走っていたのがブラックジャックでした。
ブラックジャックの車で患者を病院まで運んで一安心‥‥‥。とはいかなかったんですね。病院ではその時はたまたま手術をできる先生が出払っているか、他の手術を担当しているかで、誰もその妊婦を担当できる人がいなかったのです。
そこで手術を担当したのがブラックジャックです。彼は見事な腕で妊婦も赤ちゃんも救うのでした。
術後、メアリはブラックジャックに仕事について相談をします。自分は看護師の仕事に自信がないと、他の人のように割り切ってやらなきゃいけないのかと。
ここでブラックジャックは、自分の仕事に悩むメアリを励ますように、医者や看護師の存在意義について語りだすのです。
わたしたちは星を動かすようなもんだ
星なんて宇宙の中で決められた所で
光ってんだろう
人の一生だってそうさ‥‥‥‥
ちゃんと運命にしたがって
生まれて死んでいくんだ・・・
もし人の命を救って
その人の人生を変えたなら
もしかしたら歴史だってかわるかもしれないだろう?
引用元: 『ブラックジャック』15巻 p44 著者 手塚治虫 秋田書店
ブラックジャックは人の一生を星に例えました。星は動かないし、人の一生も変えることはできない。きっと人の一生は決まっていてみんなその通りに人生を終えていくのだろうと。
でも医者や看護師は星を動かすこと、つまり人の一生を変えることが仕事だとブラックジャックは言うわけです。
遠い昔であればケガや病気などで、そのまま命を落としていたような人たちを救うというのは、その人の一生を変えるできごとです。
そして、そうやって自分たちの手によって人生を変えた人たちの中からもしかしたら、歴史を動かしたり、歴史を変えるような人だっているかもしれない。
ブラックジャックはそこに医者や看護師の存在意義があると説いたわけですね。
確かにそうだよなぁ、そう考えるとお医者さんを始め、医療関係の仕事をしている人ってすんごい仕事をしてるよなぁなんて改めて思ってしまいましたね。人の一生を変え、もしかしたら歴史を変える一端を担っているかもしれないわけですから。
ちなみに、この後のメアリさんのエピソードが非常に印象的なのでチラッとご紹介。彼女はブラックジャックが手術をした妊婦さんの担当になり、その人の強い希望で乳母さんとしてつとめるようになるんです。
そこからあっという間に50年という月日がたちました。はたしてかつて命を救われた赤ちゃんは50年たってどうなったのでしょうか?
このオチを言っちゃうとつまらんので、ぜひブラックジャック15巻の『ある老婆の思い出』を見てほしいですねー。ただ一言オチの部分についていうならば「確かに人の人生を変えるということは歴史を変えるということなのかもな。」と納得できるオチになってるということだけはお伝えしておきます。
それではまた!!
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