推理漫画、探偵漫画というと、いくつか作品名を思い浮かべると思います。ただ、僕の少年時代っていうのは圧倒的に『金田一少年の事件簿』のインパクトが強いんですよね。
『金田一少年の事件簿』はアニメ化や実写化もされた人気作。名探偵金田一耕助の孫である金田一一が自信の周囲で起こった事件をIQ180以上と言われる驚異的な頭脳で解決していく推理漫画です。
「ジッチャンの名にかけて!!」とか「謎は全て解けた」といった名言も多いし、トリックもかなり大掛かりで「これ出来んの?」ってビックリするようなものが多くて、今でも記憶に残っているエピソードが多い作品。
ただ今回紹介したいのは『金田一少年の事件簿』じゃあなくてそのスピンオフ的な作品なんですよね。それがこちら。
『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』
これどういう作品かというと「金田一によってトリックを暴かれた犯人側からの視点を描いた作品」なんです。いわゆるスピンオフ作品ってやつですね。
いやぁ、これが予想以上に面白かったのでね、今回はこの『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』について紹介してみたいと思います。
犯人たちもツライよ!?
先述したように『金田一少年の事件簿』っていうのはけっこう大掛かりなトリックが仕掛けられます。正直謎が解かれていく過程で「えっ?こんなトリック可能なの?」っていうのがいくつもあるんですよね。けっこう大掛かりで大胆なトリックがしかけられるわけです。
本作ではまたまたコメディテイストで犯人たちがトリックを仕掛ける様子や実行していく場面が描かれています。そんで、何が面白いのかっていうとね
「犯人たちがメチャメチャ頑張ってトリックを仕掛けてる」っていうのが描かれてるんですよ。推理物の犯人って結構スマートなイメージがあるじゃないですか?でも、本作だと犯人ぜんぜんスマートじゃないんです。もう血と涙と努力の結晶でトリックを作り上げてます。実際に一つ例を挙げてみましょう。
※ここからは本編のネタバレも含みます。まだ本編を読んでいない人は先に本編を読むことを推奨します。
『金田一少年の事件簿』に登場したある事件のトリックに「崖の間に氷の橋を作って移動時間を短縮してアリバイを作る」っていうものがあったんです。そのために、まずロープで土台を作って、その上に木の枝とか飼い葉をかぶせて雪を乗せて最後に水をぶっかけて凍らせる。すると、氷でできたメチャメチャ強固な橋が完成します。どのぐらい強固かというと車ですら渡れちゃうぐらいのレベルです。犯人はそこを渡って移動時間を短縮することでアリバイを完成させたというわけです。
実はこのトリックについては僕自身も原作を読んでいて「いやいや、無理じゃね?」って思っていたんですよね。というのもこのトリックには次のような条件があったからです。
- マイナス20℃という極寒の中一人で氷橋を作らなければならない。(犯人は単独犯)
- 夜中しか橋を作る時間がない(みんなで同じ宿に泊まっているので)
- 氷の橋を作るには10リットルの水を用意する必要がある。(しかもその水は深い谷底にある流れの速い川から汲まなければならない)
ねっ?無茶でしょ?(笑)正直実行する前に心折れませんか?
実際、本作では犯人が自ら考えたトリックにもかかわらずあまりの悪条件ぶりに心折れかけてる様子が描かれています(笑)まぁ、それでもどうにかトリック完成させてターゲットを殺害することに成功はするんだけど、結局金田一に謎を解かれてしまうわけです。む、報われねぇ‥‥‥。しかも、驚くことに金田一はトリックの種明かしの際になんと‥‥‥
「トリックに使われた氷の橋をそのまんま再現する」
という犯人もビックリするようなことを成し遂げます。(しかもわりと涼しげな感じで)
その時の犯人の顔がまた面白い。もう驚愕の表情ですよ。「嘘でしょ?」みたいな。だって、自分がメチャメチャ苦労して、なんなら凍死しそうなレベルの悪条件の中作った氷の橋を金田一君はアッサリ再現しちゃってるわけですからね。そりゃ驚きますわな。
こんな風にトリックやその他の場面での犯人たちの苦労した様子がとてもコミカルに描かれています。そこが個人的にはとても面白いなぁと思ったところでした♪
まとめ
そんなわけで今回は『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』を紹介してみました。
本作は『金田一少年の事件簿』を読んだ事がある人なら、かなり楽しめる作品だと思います。僕も原作を思い出しながら、クスクスと笑ってしまいました。
ただ原作をあまり知らない人の場合には、登場人物同士の関係性など、わからない部分が多くてあまり楽しめないかもなぁとも思います。あくまで金田一少年の事件簿を知っている人向けの作品だろうなぁとは思います。
ですから、原作の方がよくわからないという方は、まずは原作の方を読んでみて、それから改めてこっちを読んでみるとより楽しめるんじゃないかなぁと思っています♪
なんかこの作品を読んでたら久々に原作の方が読みたくなってきた。そのうちネットカフェにでも行って久々に全巻制覇してみようかなぁ。
それでは今回はこの辺で。