ちょっと前から話題になっていた『君たちはどう生きるか』
気になっていたので、結構前に買ったんですがいろいろ忙しくて(言いわけ)積読しておりました。
ちなみに僕が買った時には「20万部突破」なんて帯に描かれていたんですが、この前確認したらなんと「100万部突破」なんてなってましたからね。100万部ってすごくないっすか!?なんて一人で興奮しちゃいましてね。こりゃ読むっきゃねぇということで積読してあった棚から引っ張り出してきたというわけです。
そんなわけで、ついこの先日この作品を読み終えましたので、今回は漫画版『君たちはどう生きるか』を読んだ感想について語ってみようと思います。
タイトルと表紙の惹きつける力がすごい!!
まずこの本の表紙がいいんですよね。内容じゃなくて表紙かーい!!って突っ込む人もいると思うんだけど、表紙ってメチャメチャ大事ですよ。特にこの『君たちはどう生きるか』っていう作品の表紙は個人的にとても好きです。
まず「君たちはどう生きるか」っていうタイトルとともに主人公の少年がこちらをじーっと見つめているイラストがインパクトありますね。そんで、その少年がまさに問いかけてるように見えるわけですよ。
「あなたはどう生きるんですか?」
ってね。
僕もそうなんだけど、「自分はこれからどう生きようか」ってことが決まってない人とか迷ってる人って多いと思うんですよね。
昔のように終身雇用でサラリーマンとか、専業主婦で家庭に入るのが普通みたいな世界じゃなくなってる。価値観の多様化なんて言われてて選べる選択肢が増えているわけです。
選択肢が増えるっていうことは可能性が増えるからいい事ではあります。「あなたにはこの選択肢しかありませんよ。」っていうのもしんどい。カースト制みたいにね。でも一方で人って「選択肢が多すぎても選べない」っていう特徴もあるんですよね。3つとか4つ程度なら選べるんだけど、10とかになると選べなくなっちゃう。今は10どころじゃなく一見すると数えきれないほどの無数の選択肢が広がっているように見えるわけです。
つまり価値観が多様化し可能性は広がったけども、それが同時に人々を迷わせている。「自分はどう生きればいいのかがわからない‥‥‥。」っていう人が増えていると。
そんな人がバーンとこの本の表紙を目にしたら少なくとも手には取ると思うんですよね。まさに自分自身に問いかけられているようなそんな気がするタイトルですから。
もちろん、そもそも原作が長年読み継がれている名著であるということや、原作をあの池上彰さんが推薦していたリ、漫画版の帯に糸井重里さんの名前があるというのも売れた理由であることには間違いありません。
でも、この表紙の持つ訴えかける力っていうのもの物凄くでかいよなーというのが最初に僕がこの作品を目にした時に思った事です。
常に自分はどう生きるのか?を問いかける内容になっている
ここからようやく内容について語ります。
本作では主人公のコペル君が身の回りに起きた出来事について、おじさん(コペル君の母親の弟)と語り合い成長していく物語です。
コペル君は旧制中学に通う学生なので、舞台は学校が中心。とはいえ学校は社会の縮図です。その中で発生する問題は、そのまんま大人が直面する問題でもあります。人間関係の軋轢、いじめの問題、家庭の貧困の問題などなど。また、クラスメイトやコペル君自身が抱える弱さや犯した過ちなども語られていきます。
コペル君はそういった問題にぶつかるたびに、おじさんに相談しアドバイスをもらったりしながら、最後には自分で決断をして行動をしていきます。
「自分はどうするのか?どう生きていくのか?」
思考停止したり流されてしまった方が楽かもしれない。考えない方が苦しくないのかもしれない。作中、コペル君は過ちを犯してしまいますが、「あの時なぜ自分はあんな行動をしてしまったんだろう」「これから自分はどうしていけばいいんだろうか」といったことを自ら考えて行動していくんですね。そんな彼の姿に自分自身を重ねている読者の人は多いだろうし、心を揺さぶられた人も多いんじゃないかな?
最後に
ここまでかなりざっくりこの作品について語ってきたけど、ここで言わなきゃいけないことがあります。
「この本には僕らがどう生きればいいかっていう正解は書いてない」
ってことです。あくまで問いかけているのであって「自分はこう生きていこう」と決めるのはあなたです。ですから今どう生きようか迷っていて「もう考えたくない。誰か正解を教えてくれ!」と思っている人が読むと消化不良に終わるかもしれません。
一応、作中でコペル君とおじさんのやり取りや、おじさんが記したノートの内容から「こうした方がいいだろう」という方向性みたいなものは出てきます。物のみかたや立派な大人とは何かなどなど、僕達が参考に出来る部分は多いです。だけどそれはあくまで彼らが出した答えであって、僕やあなた、そしてその他のすべての人に当てはまる答えではないということです。
ですから正解を探すのではなく、コペル君の姿を通して「自分がどう生きていくのか?」を考えるきっかけにする。本書を読む意義はここにあるのではないでしょうか?
まとめ
そんなわけで、今回は漫画版『君たちはどう生きるか』を読んだ感想をざっくりと書いてみました。
漫画であり、主人公が中学生ということもあり、子供向けのものかと思いきや、僕のようなアラサーの人間でも色々考えさせられることが多く、読んでいて楽しめる作品です。もちろん、漫画なので活字が苦手とか、本を読めない子どもであっても原作者の吉野源三郎の考えに触れることができるでしょう。
また漫画版と原作版では色々と設定など異なる部分があるようなので、その違いを比べつつ改めて原作者の吉野源三郎の考えに触れてみるのもいいかもしれません。
「君たちはどう生きるか」
非常に壮大で、答えのない問ですが、思考停止せずに考え続けていきたいものです。
それでは今回はこの辺で失礼します!