僕は漫画を読むのがとても好きですが、漫画を描くことはありません。理由はシンプルで絵も話もうまくないし、漫画で何かを表現したいという気持ちがないからです。
だから絵も描けて話も作れる漫画家さん、もしくはそれを目指している人というのは凄いなと思うし、何かのテーマを決めて読者の心を揺さぶったり勇気づけたりすることができるのは本当に凄いと思います。素直に尊敬します。
さて、そんな漫画の書けない僕ですが好きな漫画家の一人でもある荒木飛呂彦先生がなんと「漫画の描き方」について教えてくれている本を発見したんですよね。
まぁ、発見といってもたまたま見つけたという感じなんですが(笑)
先述したように僕自身は漫画を描くことはないわけで、最初にこの本の表紙を見た時には面白そうだとは思いつつも「自分にはあんまり関係のない内容かなぁ」という感じでスルーしようと思っていました。ちょっと中身を読んでその場を立ち去ろうと思ったわけです。
ところがパラパラと数ページ読んでみたらこれがまぁ面白い、面白いというか先が気になってしまったんですよ。というのも
「荒木先生、ここまで描いちゃっていいの?」
と言っていいぐらい人気の出る漫画、本書では「王道の漫画」なんて言い方をしていますが、それを描くための考え方や抑えておきたいポイントなどが事細かに記されていたからです。結構ビックリするレベルです。
漫画家を目指す人なら読んでおいて損はない!!
漫画家には2タイプいると思っています。天才型と努力型(分析型)です。前者はあれこれ考えなくても面白いストーリーがポンポン出てきて魅力的なキャラクターを生み出せちゃう人。(パッと誰かは思いつきません。)後者は、売れている作品や面白い作品を研究分析して「こういう漫画が面白いんじゃないか?」とある程度狙いをつけた上で作品を作る人。
僕は漫画家ではないのでわかりませんが、おそらく漫画家を目指す人の多くは天才型ではなく努力型なのではないでしょうか?いやっ、きっと漫画家だけじゃなく世の中にある多くの職業についても言えることだと思います。天才というのはほんの一握りしかいないはずです。
それは本書を描いている荒木先生も例外ではありません。先生は今でこそジョジョの奇妙な冒険を長期にわたって連載されていますが、デビューした当時はそれほど人気のある漫画家さんというわけではありませんでした。
荒木先生は『武装ポーカー』という作品でデビューをしたわけですが、その後はかなり苦労をされています。
その後の数年間、模索しながらネーム(原稿の前段階となるラフスケッチ)を山ほど描きましたが、トータルで五〇〇ページぐらいボツになったのではないかと思います。そうしたことを続けながら、最初の一ページをめくらせた先、編集者や読者に最後まで読み通してもらえる漫画を描くために必要なことが次第にわかってきました。
引用元:『荒木飛呂彦の漫画術』p45 著者 荒木飛呂彦 集英社新書
こんな感じでデビュー後も非常に苦労されています。つまり荒木先生も決して天才型ではなかったというわけです。ボツにボツを重ねるという下積みの日々を送ってきたんです。
ただ、先生にとってその日々は無駄ではなかったわけです。コツコツと日々漫画と向き合い、色々な作品を分析する中で、「こうすれば最後まで読んでもらえるんじゃないか」というところまでたどり着きました。本書ではその方法論を非常に細かく教えてくれています。
これは荒木先生の作品が好き嫌いとか関係なく「漫画家志望の人はぜひ読むべきだ!!」と思います。それぐらい濃い内容でマンガを描く人にとって役立つ知識が詰まっています。
漫画家を志望する人以外にもおすすめ!!
基本的にこの本は漫画家を目指す人向けのものですが、それ以外の人が読んでも役に立つと思います。
この本ではストーリーの作り方の項目があるのですが、そういうのって別にマンガだけじゃなくてアニメや映画や小説なんかにも応用できるじゃないですか?
ジャンルが違おうが人が面白いと思うものって変わらないですからね。先生のストーリー作りの方法や考え方なんかは、他のジャンルの作品を作る人たちなんかも十分参考になるし応用できると思います。
最後に
ここで本書の冒頭に描かれていた荒木先生の言葉を引用してみます。
この本は、いわば僕にとって漫画界への恩返しのようなもので、今まで学んできた「漫画の王道」を次の世代に伝えることによって、これまでの漫画を超えるような作品が生まれてきてほしいと願っています。これからの漫画界の繁栄につながってくれるのであれば、それに勝る喜びはありません。
荒木先生の心の広さハンパないですね。この本の内容というのは荒木先生ご自身もおっしゃっていますがマジシャンが手品の種を明かすようなものです。中にはバラしたくないような方法論も含まれているそうですが、先生はそういうものをこれでもかというぐらい公開してくれちゃってるわけです。
これってすごいことじゃないですか?だってこれからライバルになるであろう漫画家の卵たちに「俺はこうやってマンガを描いてるんだぜ」って手取り足取り教えてくれているようなもんですよ。しかも、競争が激しい業界ですから、荒木先生ほどの人だって油断してたらあっという間に次の若手の人たちに追い越されてしまう可能性もあるわけです。
それにもかかわらず先生はこの本を描いた。何のためか?漫画界への恩返しのため、そしてもっと面白い漫画を作る漫画家が出てほしいからです。
「荒木先生かっけぇぇ!!」
そんな先生の思いにビシビシ共感しちゃいまして、ちょっとでも貢献したいなと思って今回はこの記事を書きました。ぜひこの本が漫画家の卵の人たちや「何を描いたらいいかわからない」と悩んでいる若い漫画家の方に届いてほしいなと思っています。
この本を読むことできっとこれからの作品作りにつながる気付きや学びを得られるはずです。
今回一応この本のリンクを貼ってはいるけど、別に僕のところから買わなくてもいいし、図書館とかで借りてもいいと思います。どこから手に入れてもいいけど、ほんとマンガを描きたい、漫画家を目指したいという人には役に立つ本だと思うのでぜひ読んでみてください!!
それでは今回はこの辺で失礼します!